社会課題をどうポップに見せるのか/自信はどう養うのか/リーダーの夢の見せ方 など
J-WAVEの生放送に出演し、編集のない現場ならではの緊張感から、改めてこの番組の居心地の良さを実感しました。
今回も、社員から寄せられた5つの質問に答えます。社会課題をどうポップに見せていくのか。自信はどこから生まれ、リーダーはどう夢を語れば人をワクワクさせられるのか。「夢100」ではなく「夢1」に集中する理由や、変化を当たり前にする組織のつくり方まで、アーラリンクが大切にしている考え方が見えてきます。
- 目次
- J-WAVEの生放送に出演
- 質問① 社会課題をどうポップに見せていくのか
- 質問② 自分への信頼や自信をどう養うのか
- 質問③ リーダーは、どう大きな夢を見せるのか
- 質問④ なぜ「夢100」ではなく「夢1」なのか
- 質問⑤ アーラリンクの社員は、変化をどう捉えているのか
J-WAVEの生放送に出演
今週月曜日に、J-WAVEのラジオに出ました。
出演したきっかけは、誰でもスマホのプレスリリースです。
そのプレスリリースを番組の方が見てくださって、
「通信困窮者問題について聞きたいです」ということで呼んでもらいました。
出演時間は20分ぐらいで、生放送でした。
それで改めて感じたのが、
この「スーパークレイジーソーシャルベンチャー」の居心地の良さですね。
J-WAVEでは、MCのお二人に挨拶した10秒後ぐらいにいきなり始まるんですよ。
だから、コンセンサスが何も取れていない。
一応「こういうことを聞きますからね」という粗めの台本はあるんですけど、
やっぱり台本からそれていくんですよね。
このラジオだったら、僕がメインで喋っているじゃないですか。
でも、あっちだと僕は聞かれたことに答えるサブの立場なので、
構造的にも結構やりにくいんです。
あと、編集がないって怖いですよね。
普段は新聞・雑誌・動画などの取材って、結構編集ありきじゃないですか。
なので、この番組の500倍緊張しました。
質問① 社会課題をどうポップに見せていくのか
ここからは、社員からいただいた質問に答えていきます。
「単身の生活者向けのサービスは、家族割と違い、ポップではない印象を受けました。単身の生活者を支えることは社会的に意義が非常に大きいですが、ビジネスとしては単価や利益率の面で難しさもあるのではと思いました。社会課題の解決と事業の経済的成長を両立するためには、今後どのような方針を重視していくのか伺いたいです」
まず「携帯電話を持てない方のために、携帯電話を持ってもらいましょう」と、
自分たちのビジネスを定義しました。
これは、どちらかというとお客様の便益ですね。
お客様の価値のために、そう定義しました。
その上で、最初のブランディングとして、
僕たちの活動を何と定義するかとなった時に、
社会課題解決の方に定義したんですよね。
そうすると、そのお客様が、
いわば「社会課題の対象者」になってしまったんですよ。
今は逆に、またお客様向けのブランディングを考えているところです。
「誰でもスマホ、通信困窮者」というふうになってしまうと、
お客様を傷つけてしまう可能性がある。
そもそも、通信困窮者の方しか契約できないサービスになってしまうと、
市場も狭いよねという話もあります。
これから増えていく単身者の方にもフォーカスするブランドになりたいと思っています。
単身者って、若い時は自由とか気楽という面が多いですけど、
ミドル層、シニア層になってくると、
孤独とか、将来への漠然とした不安という社会課題が出てくる。
社会課題というものの解決って、課題なのでトーンが暗いじゃないですか。
でも、サービスって、やっぱりポップじゃないと売れないんですよね。
「高橋さんが、ポップじゃないと売れないと言っているけれど、じゃあ、どうポップにするんですか。我々の社会課題の解決を前面に出していくと、ポップじゃなくなるでしょう」
ということを質問してくださっているんだと思います。
この質問に対する回答として、一番最近のイケている例で言いますね。
ヘラルボニーさんが変えた、福祉の見せ方ですね。
障害のある方がアートを作って、それを商品として売っている会社です。
ハンディキャップのある方が何かを作って売るというと、
今までは福祉的な感じがして、
「買ってあげることが優しさだ」という価値観になりがちだったと思うんです。
でも、ヘラルボニーさんは、
障害を持っている方を「異彩がある人」と捉えて、
障害というものの定義を置き換えた。
そして、ものすごくポップな感じで、おしゃれなものを世の中に売っています。
商品を買う人も、非常に審美眼があるというか、
「私は美術が分かりますよ」という価値を感じられる。
それから、インクルージョンに高い関心を持っているという、
知識層としての自己実現価値みたいなものもある。
僕は、ヘラルボニーさんの商品から、そういう価値をすごく感じるんですよ。
社会課題というものを、本当にポップな感じというか、
少しおしゃれなものにリフレーミングしたことによって、市場から受け入れられている。
福祉っぽくなってしまうと、
「かわいそう」とか「買ってあげなきゃ」とか、そういうふうになってしまうんですよね。
福祉が前面に出ることによる、ちょっとしたダサさもある。
僕らも今、結構それだと思います。
だから、そこを変えていくということです。
具体的にどう変えていくのかについて、今ずっとそれを考えています。
質問② 自分への信頼や自信をどう養うのか
「リーダーシップのお話がありましたが、高橋さんは、ご自身への期待値や信頼を日々どのように養われていますでしょうか。自信をつける、自己信頼を養うというのが今の課題なので、ご教示いただければ幸いです」
僕って、よく自信があるように見えると言われるんですよ。
アーラリンクにいれば、僕はアーラリンクの代表なので、
アーラリンクのことは大体できるし、
そういう意味で自信がありそうに見えるのは、
ポジショントーク的なものもあるのかなと思います。
ただ、少し違う話でいうと、
最近、とある経営者のコミュニティで経験したことがありました。
そこには、東京だけで500人ぐらいの起業家がいて、
その中で、まだ経営がジュニアでこれからもっと経営を勉強していきたい人と、
ある程度経営をしている人がメンターになって、
経営を教える「メンター・メンティー」というプログラムがあります。
80組ぐらいが組成されていて、
僕はメンターとメンティー、どちらもやっているんですよ。
この間、そのプログラムでメンターのベスト3ぐらいまで選ばれました。
最終的に「メンティー」いわば弟子がピッチをして、優勝したんですよ。
なので、そのコミュニティの中では、
一応、教えるのが上手っぽい人とか、経営を言語化できるっぽい人になったんですよね。
その経験から、僕はまた自信を得ました。
最近の話でいうと、そういうことがあります。
この質問を見た時に、一番最初に思ったことがあります。
セルフブランディングが自信を作るのではないかということです。
自分が「これができる人である」と定義するというか。
その定義は、自分だけでするのではなくて、
他の人からもそういうふうに思われるようにすることが大事だと思います。
自分の弟子にも、
「ここで絶対に一番を取ろう。一番というものが、絶対にあなたの自信になるから」
と言って、結構時間をかけて、お互いに練習したんですよ。
やっぱり何かで成果を残す。
周囲の人から「彼はこういうことが得意な人だよね」と思ってもらう。
そういう形でセルフブランディングをする。
組織の中でセルフブランディングされると、
自分自身も自信を持てるようになるんじゃないかなと思います。
そうなると、その領域において、
自分自身の介在価値というものを定義できる。
その介在価値を感じられると、自信になるんじゃないかなと僕は思います。
質問③ リーダーは、どう大きな夢を見せるのか
「『高い水準を決め、大きく夢を見せる』の『大きく夢を見せる』について、考え方としてはとても理解できたのですが、具体的なイメージがあまり湧きませんでした。差し支えなければ、高橋さんが考える『大きな夢を見せる』の具体例や詳細をご教示ください」
これはリーダーに向けて言ったんですけど、
リーダーという人は「人をワクワクさせなきゃいけない」という前提を持っています。
人をワクワクさせるためには、大きな夢、大きなビジョンを、
フォロワーしているメンバーに語ることが必要だと思っています。
この質問への答えでいうと、
大きなビジョンや、その計画をちゃんと喋れるようにすることです。
「俺は、この組織をこういうふうにしていきたいんだ」とか、
「この組織をこういうふうにするために、こういう順番で取り組もうと思っている」
という計画を、ちゃんと喋れるようにする。
それが大事かなと思っています。
とはいえ、その計画を喋っても、
フォロワーのメンバーにはよく分からず、刺さらないこともあると思います。
でも、何となく「達成できそうだな」という希望が持てる。
計画がちゃんと、一つひとつがつながっているんだなと、何となく分かれば、
それで結構安心することもあると思うんです。
似たようなところでいうと「大きな痛みの克服」もあると思います。
「今は大変だけど、こういう順番で取り除いて、みんながハッピーになるからね」
「今はこういう苦痛があるかもしれないけど、こうやって越えていくと成長するからね」
と、今の痛みを取り除くことや、今の痛みを超越して成長できることを話す。
そういったことも、僕は「大きな夢を見せる」とか、
人をワクワクさせることにつながるんじゃないかなと思っています。
じゃあ、今の僕が「大きな夢を見せる」としたら何ですかというと、
さっきも出てきた話です。
誰でもスマホを、もっと広い人に届くサービスにしていくことです。
通信困窮者向けのスマホは社会性があります。
でも、その見せ方によって、お客様側が苦しんでしまうことが、今の課題です。
ここをリブランディングして、もっとマスなサービスにしていく。
そして、もっと社会から評価される仕事に変えていく。
いい仕事ができた方が、みんなもうれしいよねということを話す。
これが、いわゆる大きな夢として、
みんなをワクワクさせることになると思います。
それから、「アーラリンクで頑張って仕事をしていれば、
変化しまくる世の中でも、生きられる力が身につきますよ」という、
将来に向けての約束をする。
そういうことが、僕が結構意識していることかなと思います。
社長として大きな夢を見せるのはやりやすいと思います。
リーダークラスの人たちが大きな夢を見せるためには、どうすればいいのか。
まずは、今の仕事の中で、うまくいっていないところを取り除いて、
「こうやって仕事をやりやすくしよう」と話すことだと思います。
ペインを取り除くということですね。
それから「この仕事を通して、こういう力を身につけることができるから、一生懸命頑張りましょうね」という話をする。
あとは、自分の組織に所属していることへの所属価値を上げることです。
例えば「俺はこの組織を、日本一のカスタマーサポートにしたいんだ」とか、
「すごく機能しているバックオフィスにしたいんだ」と語る。
それによって、自分がこの組織にいるということが、
ほかで働いている人よりも一段、二段上のステージで働けているような気持ちになってもらう。
一段、二段上の基準を言うということです。
「お客様にもっといいものを提供しよう。それを実現するためには険しい道もあるかもしれないけど、一緒に頑張っていこう」と伝える。
誇りとか、気品とか、気高さとか。そういったところを刺激するようなメッセージが、
やっぱり人をワクワクさせると思うんですよね。
「俺らは超一流だ。超一流だから、超一流の仕事をしようぜ」ということです。
その上で、「でも、それに対して今は足りていないものがある。
これは、もう少しこうしてほしい」と伝える。
聞いているリーダーの人たちには、
ついてきてくれている部下の子たちをワクワクさせるようなことを言ってほしいと思います。
それがリーダーの仕事だなと思っています。
質問④ なぜ「夢100」ではなく「夢1」なのか
「制約と誓約のお話の中で、『夢100は書かない。夢1だ』とおっしゃっていたのが、とても印象に残りました。私は、あれもやりたい、これもやりたいと思ってしまうのですが、高橋さんは起業された当初から夢1の状態だったのでしょうか。それとも、最初は夢100のようなものがある中で、どこかのタイミングで夢1に定まっていったのでしょうか。もしそうであれば、どのような考えや経験を通じて夢1にたどり着いたのか、ぜひ教えていただきたいです」
以前のラジオで、僕が「夢100ではなく、夢1だ」と言った話ですね。
ただ、これは少し言葉足らずだったなと思っています。
夢100でも、全然いいんですよ。
僕も夢100は書いたことがないですけど、夢30ぐらいはあったかなと思います。
でも、一個の夢を倒すと、大体ほかの夢も達成できるというものがあるんですよ。
例えば、僕の夢でいうと、僕は浦和レッズのサポーターなんです。
浦和レッズやマリノスさんは、かつて強豪と言われていたクラブですけど、
今はプレゼンスがどんどん下がって、
「大丈夫か、このクラブ?」と思うような状態になっている。
僕は、これは経営が駄目なんじゃないかなと思っています。
最近イケているクラブには、やっぱりイケている経営者が入っているんですよね。
だから、僕も好きな浦和レッズをイケてるクラブにするために、
僕が浦和レッズの経営をやらなきゃいけないんじゃないか。
そういう夢はあるんですよ。
ほかにも、ガイアの夜明けに出るとか、情熱大陸に出るとか、
有名なメディアに出るという夢があります。
それから、起業家としてペイフォワードしたい。
母校に帰って、高校生に「起業家ってこうなんですよ」と話すこともしたい。
今、五個ぐらい夢を言いましたけど、
これって全部、いい起業家になりさえすれば達成するんですよ。
結局、やることは、起業家として立派になることです。
アーラリンクをいい会社にすることです。
そうすれば、ほかの夢もおのずと大体ついてくる。
そういう意味で「夢1」と言ったんです。
昔はそこに「世界一周をする」とか、そういった夢も入れていました。
でも、その夢1を倒すと、大体ほかの夢もダダダッと倒れていくんですよね。
もちろん、世界一周は、いい起業家になるだけではできないかもしれません。
でも、世界一周することは、
ほかの夢と比べたら、僕にとってはそれほど大事じゃないなと思った。
だから、まずはこの夢に集中しようと。
夢の中には、水と油のような関係のものもあると思うんです。
片方を進めたら、もう片方が少しおろそかになってしまうようなものです。
それであれば、やっぱり自分が本当にやりたい方に集中しようと思ったという感じですね。
何でもかんでも同時にやろうとすると、
自分がやらなきゃいけない本筋の方がおろそかになってしまうこともある。
そういうことも含めて、夢1と言いました。
質問⑤ アーラリンクの社員は、変化をどう捉えているのか
「アーラリンクの従業員は、変化についてどのように捉えている人が多いと思いますか?」
これに関連して、感想もいただいています。
「変化を嫌う人の気持ちは分かりますが、より良くなるための変化だと思うので、個人的にはワクワクします。変化についてポジティブに捉える人が多ければ、すてきな組織になると思いました」
僕も分からないので、教えてくださいという感じです。
ただ、人には普通に備わっている機能として、現状維持バイアスがあります。
変化を好みたくない。
今の自分を基準にした時に、今の自分から変わりたくないというのは、
普通にある人の性質です。
ただ、変わることが当たり前になると、
変わることに慣れていくという性質も同時にあるんですよ。
役割をコロコロ変えるとか、会社の制度をコロコロ変えるとか、
小さいところでいうと、座席をコロコロ変えるとか。
そういう形でガンガン変化させていくと、変化慣れしていく。
『変化慣れ』とも言うし『変化麻痺』とも言うと思います。
アーラリンクは変化慣れしているんじゃないかなと思います。
何かを変えてくださいと言った時に、
露骨に嫌な顔をされた記憶は、あまりないんですよ。
「分かりました」と言っていても、
「これは分かっていない人の『分かりました』だな」ということってあるじゃないですか。
言った側からすると、
「あ、苦い顔をしているな」と分かりますけど、そういうことは感じない。
だから、僕が見ている景色では、
変化に対する強い抵抗は、あまりないんじゃないかなという気はしています。
変える理由は、ロジカルに説明していると思います。
あとは、やっぱり変わることが文化になっているというのもあると思います。
無理くりでも変えようとしている部分もあるかもしれません。
今回も、いい質問をいただきました。
話し手
高橋 翼
株式会社アーラリンク代表取締役社長
2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。

