料金を高くすれば成立する。でもそれでは意味がない
20GBが7000円台だった時代から、30GB3980円へ。なぜこの価格が可能なのか。特別な裏技があるわけではありません。企業努力の積み重ねと、儲けに走りすぎない意思決定を続けてきただけです。解約率が高い市場で、リスクを理由に価格を上げるのは簡単。でも僕らは、利益が出たら下げると決めてきました。“本当の誰でも”を本気でやる覚悟とは何かを語ります。
- 目次
- 本当の“誰でも”に近づくまで
- 3年間で半額以下になった話
- “足元を見る”ビジネスはしたくない
- 「誰でも」は高ければできる
- リスタートする人のインフラになりたい
- なぜ誰でもスマホをやれているのか
- 原体験からくる想い
- 「なぜできるのか」が一番難しい
本当の“誰でも”に近づくまで
前回は「誰でもスマホ」は、技術があるとか、なにか特別なものがあってできているものではなく、突き詰めると月額料金と解約率のバランスの中で、僕らが飲める最大のリスクを取りながら、お客さんにできるだけ安く提供している。
通話料のような従量課金の部分を極力なくして、一定にすることで僕らのリスク許容度も一定にする。だからこそ「誰でも」という仕組みが成立している、という話をしました。
ただ通話をあまり使わないお客さんにとって、選択肢がないのは不便だなとずっと思っていたので、3月から完全かけ放題じゃなくて「10分かけ放題」にして、あまり通話を使わない方は500円くらい安くなるようにしました。
3年間で半額以下になった話
「誰でもスマホ」は2026年1月でちょうど3周年を迎えたんです。
で、3年前からの月額料金の遷移を見ていたら、月額料金はびっくりするくらい安くなっているんですよね。価格改定を意図的にしまくっているんです。
お客さんが増えて、継続してくれる方が増えれば、その分収益が上がる。収益が上がったら、その分料金を下げる。またお客さんを増やす。増えたらまた下げる。この連鎖をずっとやってきたんですよ。
サービス開始当初、中心プランの20GBは、7000円〜8000円くらいだったんです。今の倍くらい。そのくらいいただかないと、正直やれなかったんですよね。
そこからお客さんが1万人を超えたあたり、2023年の夏ぐらいですね。「さすがにこれは高いな」と思って、「苦しいけど一回値下げしよう」ってなって税抜き4980円まで一気に下げました。正直やばかったです。売上も当然下がりました。
でもやっぱり大量のギガを使いたいお客様が多くて「その方のお声に応えたい」という思いと、ベンチャー起業家としてのパッションがあるんで「僕らが価格を壊しに行かなきゃ」「インパクトを作らなきゃ」という感じで思い切りました。
さらにコンビニ決済の手数料を500円いただく代わりに、口座振替の方は無料にして、月額を1000円下げました。20GBは3980円になり、コンビニの方は+500円、口座振替なら表示価格そのままです。
そして3月からは、20GBを廃止して30GBにあげるんですよ。3980円のままです。容量を増やして、価格は据え置きです。昔25GBが8000円だったのが、今は30GBで約4000円。値段は半分くらいになったし、もっと使えるようになりました。
“足元を見る”ビジネスはしたくない
良いサービスを使うなら価格は上がる。当然と言えばそうなんですけど。
でも、キャリア料金が払えなくなったから、別の会社で高い料金を払う。なんかそれって、足元見てる感じがするじゃないですか?僕はそれがすごく嫌だったんすよね。
銀行も、与信が悪いと金利が高くなる。でもそこにイノベーションも愛情もないなと僕は思っていたので、なんとかしたいなとずっと思っていたんですよね。
だから、有名どころのUQモバイルやYモバイルの価格をずっと見ながら、「ここをくぐれないか」と本気で考えてきたんです。利益が出なければ、僕らが潰れてしまう。それだけは絶対にダメじゃないですか。だから何度も計算し、交渉し、ようやく今30GB・3980円というところまで来ました。
「誰でも」は高ければできる
結論から言えば、「誰でもスマホ」は誰でもやれるんですよ。高ければ。
解約が多いから高くする。リスクヘッジとしては正しい。でもそれだと、誰も使えなくなるじゃないですか。
本当に困っている人に高い料金を払ってもらうのは、僕は違うと思ってます。なので、この3年間葛藤しながらサービスのバージョンアップを重ねて、ようやく「一般的」と言われる価格帯に持ってくることができました。
リスタート市場という難しさ
リスタートモバイル市場には、5〜6社くらいあるんですけど、クレジットカード前提なら話は別ですけど、コンビニ払いでこの価格帯は、正直かなり頑張ってると思います。
正直、コンビニ払いって回収率は悪くなるんですよ。でも、クレジットカードを持てない人、口座がない人も、現実にいるんで、そこを切り捨てないでなおかつ価格も下げていく。 薄利の積み重ねで、本当の意味で「誰でも」になってきているのかなと思いますね。
リスタートする人のインフラになりたい
僕の野望は、リスタートする人のインフラになることです。
「困ったらアーラリンク」「困ったら誰でもスマホを頼る」みたいなものを、日本や世界で作りたい。
そのためには、マスでなきゃいけないし誰でも使える価格じゃないといけない。高いとか、障壁を作ってはいけない。圧倒的な安さで、持続して、ちゃんと利益も出しながら誰でも使えるようなお金でやっていかなきゃいけない、という想いが僕の中にずっとあるので、ようやくちょっとずつそういった所に行けるようになってきたかな、という感じですね。
なぜ誰でもスマホをやれているのか
結局、やっぱり特別なことはないんですよ。
でも、誰でも手に届くような価格にするには、お客様に支持されて、支持があるから料金を下げられる。そして会社が儲けに走りすぎない意思決定ができる。その辺りが必要なことかもしれません。
あとは、自分の苦しかった過去を思い返せるというのは結構でかいかもしれないですね。お金がない辛さを知っていること。それが、もしかしたら答えなのかなって思いますね。
原体験からくる想い
僕自身、20歳から25歳くらいまで本当にお金がなかった時期があります。20歳~22歳ぐらいまでは携帯も持ってませんでした。ネットもない。テレビもない。ロフトに布団しかない部屋で、孤独でしたね。
そのときのことを思い出すとやっぱりもっと頑張らなきゃと思うんですよ。通信がない辛さ、お金がない辛さは、身に染みてるんで。今の時代だと想像しにくいかもしれないですけど、あの孤独感はすごかったです。だから、あの時の自分みたいな人が、ちゃんと通信できる社会にしたいって思うんすよね。
「なぜできるのか」が一番難しい
今回ずっと話していて、一番難しいなと思っているのは「なんで誰でもスマホはできているんですか?」という問いなんですよね。「なんでやっているんですか?」じゃないんです。なんでこの仕組みが可能なんですか? 他の会社はできないのに、なんでアーラリンクはできるんですか? そこなんですよ。
本当に地道な積み重ねなんです。だから「こうだからできるんです」と一言で言えない。でも、説明できないと怪しいんですよ。胡散臭いんです。理由が分からないと、みんな心配になるんですよ。だから僕はその不安を一つでも減らしておきたいと思ってます。もうちょっと話したいんで次回アナザーストーリーで話します。
話し手
高橋 翼
株式会社アーラリンク代表取締役社長
2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。

