上司は仕事を手伝う人じゃない。答えを出さない人

新年最初の収録で、僕が改めて考えていたのは、上司と先輩の決定的な違いでした。仕事ができて頼りになる先輩は魅力的です。でも、その延長で上司をやってしまうと、人は育たない。上司の役割は技術を教えることじゃなく、キャリアや人生の考え方を伝えることだと思っています。

新年初の収録

収録としては新年一発目。年末年始は箱根駅伝を最初から最後まで見て初詣に行き、本を読んで仕事して…という感じでした。派手なことはしてないですけど、頭の中ではずっと考え事をしてましたね。最近は自分の中で、組織とか人の育て方について言葉にしたいテーマが溜まってきている感覚があります。

 

Podcastから始まった本との出会い

最近、本を買ったんですけど、久しぶりに小説を読んだんですよね。
なんでその小説買ったかって言うと、それこそポッドキャストで。やっぱポッドキャスト聴くようになりましたね。2025年。多分もうYouTube見ないでポッドキャストばっか聴いてるかもですね。

トレンド系とかマーケティング系とかニュースとかそういう系が多くて。日経トレンド聞いてたら、おすすめの本でインザメガチャーチってのがあって。

人から進められたら買っちゃうみたいな感じで買ったんですけど、そのインザメガチャーチって本が、むちゃくちゃ面白かった。久しぶりに小説読んだけど、めちゃくちゃ面白かったです。

あらすじとしては、主人公が3人いるんですよ。大体の流れとしては推し活の話してるんですよね。
推し活マーケティングってのが僕は全然分からなかったから勉強しようと思って。なんでみんなあんな推しに熱狂してるのか、みたいなことについて書いている本。

メガチャーチと物語の力

それが派生して、チャーチマーケティングってのがあるんですよ。
メガチャーチって、でかい教会で、毎週2000人ぐらい参拝に訪れる人がいる教会をメガチャーチって言うらしいんですよね。

じゃあメガチャーチって今何してるかって言うと歌って踊ってみたいな感じで、全然教会っぽ活動してないらしくて、それで若い人集めてって感じでやってる。だから推しっぽくなってるというか。

本のブックカバーに「神がいないこの国で人を操るには物語を使うのが1番いい」って書いてあって、ぞっとしますよね。物語で共感とか、そういうのって、自分もやれること、やりたいことだと思ってました。

チャーチマーケは悪用厳禁

それで、チャーチマーケティングを勉強したくて、もう1冊それに関する本を買いました。
賛成党が去年大躍進したのもチャーチマーケの要領が使われていて、みたいなのも勉強してたら、めちゃくちゃ面白かったです。チャーチマーケの本って、大体1行目に絶対悪用するなって書いてあるんですよ。カルトとか悪徳商法とか、そっちに走ることもできるメソドロジーだから絶対に悪用するなって。
でも、いい方に、用法正しく守って使えばすごくパワフルな手法ですよっていう。

会社での応用はまだ整理中

その本を読んで僕がすべきと思ったことは、チャーチマーケティングをもっと勉強すること。
僕はどっちかっていうと運営側なんですよね。チャーチ側というか。

じゃあ会社で応用するなら例えば何?って聞かれると、まだまとめきれてないんですけど、例えば朝礼をオフラインでやるとか。オンラインでやってるのを逆に集まってやるとか。

リアルで接触するってところでチャーチっぽい要素がある。社員証を作るとか、ユニフォーム作ってみんな着るとか、クレドを唱和するとか。共通の敵を作るとかも入る。ペプシがコーラを敵にするとか、AppleがWindowsを敵にするとかと同じですね。

上司と先輩はまったく別物

雑談が長くなりましたね。今回話したいのは、上司と先輩の違いです。

上司はキャリアを考える人で、先輩は仕事の技術を教える人。上司と先輩は全然違うんだよって、最近よく言ってます。僕がリーダー教育を作ってる中でよく言ってるのがこの話で、先輩と上司の違いって結構いっぱいあるんですよね。

先輩って、何でもできる人で、困った時に頼りになる人で、一見いい人。これが先輩像だと思ってるんですよ。
みんなが憧れるリーダー像って、結構先輩像だったりするんですよね。兄貴分、姉貴分、私に任せとけ、ありがとう、みたいな。自分のファン作ってく、みたいなのは先輩像です。

でも上司はそれじゃダメです。

上司は仕事をやらない

上司は何かって言うと、仕事は手伝わないんです。仕事は任せる。もっと言ったらやらせる。相談を受けても全部自分でやっちゃうんじゃなくて、意思決定は部下に委ねる。
「俺はこうだと思うけど、最終的に決めるのはあなたですよ」っていう立場です。

一見すると厳しい人に見えるかもしれないし、何もしてなさそうに見えるかもしれない。口だけ出してて何も動いてない人に見えるかもしれない。でも、その人の方が教育者なんですよ。
歴史を見てもそうじゃないですか。上に乗っかってるのが愚かな将軍だったりすると、下がめちゃくちゃ頑張る。下が育つ。逆に上が全部できちゃうと、人が育たなくなる構造があるんです。

だから、上司と先輩は明確に分けてます。
アーラリンクでは、役職名で線引きをしてます。
ASV(アシスタントSV)が先輩。SVが上司です。

今までは、SVが先輩の仕事をしてたんですよ。だから僕はそれをやめろって言ってます。
上司は上司の仕事をしなさい。先輩は先輩の仕事をしなさい。もし上司が「俺やっとくよ」「私がやるよ」って言ってたら、それはダメなんです。
言い方悪いですけど、自分が気持ちよくなってるだけなんですよ。

いい人でいたい上司はダメ

「俺やっとくよ」って言う上司は、いい人でいたいんですよ。
助けてる側も、自己犠牲に見えるけど、実はヒロイズムに浸ってるだけかもしれない。だからアーラリンクでは、朝礼でこう言ってます。
もし上司が仕事手伝ってたら、「あ、この人はいい人だって思われたいんだな」って軽蔑しろ、って。

これ、部下にも言ってます。
上司が優しくて仕事を持っていくのは、あなたのためじゃない。その人が気持ちよくなってるだけかもしれないって。「それでも手伝いますか?」って、会社からメッセージを飛ばしてます。

先輩は答えを教えていい。でも上司は違う。
上司は問いを投げる人です。
仕事のやり方を教えるのは先輩。仕事の問いを投げるのが上司。

人事制度も定義している

だから今、人事制度も明確にしてます。
先輩の給料はこれ。上司になれたらこれ。あり方もマインドも全部定義しようとしてます。
今アーラリンクは、先輩が上司をやってる状態なんです。だから変えないといけない。
上司が仕事をやるのは良くない。自分が気持ちよくなってるだけだ、ってはっきり言ってます。

上司が教えるのはキャリア

じゃあ上司の教育って何か。キャリアを教えることです。

僕は上司と部下のフィードバック動画を全部見てるんですよ。会議室に3人ぐらい集めて、30分のフィードバック動画を見て、総評を話す。そこで、もし点数の取り方を教えてたら、僕は怒ります。

カスタマーサポートで高得点を取る方法を教えるのは、先輩の仕事です。上司の仕事は違う。技術ではなく姿勢を教える。
例えば、お客さんの気持ちに立って考えたらどうか、とか。自分の喋りたいことを喋るんじゃなくて、お客さんが求めてることを話してるか、とか。社会人としてのスタンスを教えるのが上司です。

コールセンターでいい対応をする方法は、先輩が教えればいい。
でもそれだけだと、コールセンター人材としてしか価値が上がらない。
みんな、どこの会社でも通用する人材になりたいって、ぼんやり思ってるじゃないですか。そこを育てるのが上司の役目です。

アーラリンクだけの人材にするな

アーラリンクのカスタマーサポートのやり方だけ教えてどうするんですか?って僕は言ってます。
誰もアーラリンクで買い殺されたいなんて思ってない。僕すら思ってない。
だから、どこの会社でも通用する力をつけさせろ、点の取り方じゃなくて、どこでも使える姿勢を教えろ、って。

上司が優しくて甘やかすのは、砂糖みたいなものです。
甘くて美味しい。でも毒です。
特に新卒を甘やかして育てたら、その後のキャリアで苦労する。
だから僕は厳しく言います。上司は問いを投げる人。答えを与える人じゃない。

組織が成熟したからできる

正直、昔はできなかったです。
みんな仕事ができなかったから、1つ1つ教えないと回らなかった。
でも今は、ある程度事業が成熟してきた。
だからこそ、人材教育に本気で向き合える。

僕がフィードバック動画を全部見て、「それ違う」「それは先輩の仕事だ」って言えるフェーズに来たと思います。

改めて、この上司と先輩の違いは、もう一回ちゃんと話したいですね。
上司はキャリアを教える人。先輩は技術を教える人。
そして、上司は問いを投げる人。この話には、まだ続きがあります。

話し手

高橋 翼

株式会社アーラリンク代表取締役社長

2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。