5時半に出社して、いったい何をしているのか?コツコツ働き続けるのには、実は理由があります。
さらに「失敗体験をコンプリートしないと成功者になれない」という美学や、成功するまで諦めない一方で、日常の小さな執着は手放すという考え方も。
社員からの3つの質問をきっかけに、仕事への向き合い方から意外な日常まで語ります。
質問① 毎日会社で何をしているの?
「高橋さんの1日のスケジュールを知りたいです。朝5時頃に出社して、午後6時頃までどんなことをしているのでしょうか。とある社長のYouTubeを見ていると遊んでいる人が多いと感じる中、高橋さんはほぼ毎日出社して何をされているのか気になります」
僕は時間の使い方を全部集計しているんですよね。
何にどれくらい時間を使ったのか。
朝は、最初の会議が入るまでずっと考え事をしています。
5時半から9時半くらいまで、
何をどうやったらもっとうまくいくのかなっていうことを考えている。
ホワイトボードに向かって、ずっと字を書いています。
書きながら考えを整理して、Notionに転記したり、
その途中で調べたいことが出てきたらAIのディープリサーチで調べて、
またイマジネーションを膨らませたり。
朝はクリエイティブというか、未来を考える仕事をすごくしていますね。
こういう時間は、1週間とか1カ月の労働時間の中でも、
一番大きな割合を取らなきゃいけないと思っています。
理想は50%くらいなんですけど、実際は35〜40%くらい。
それでも月に100時間くらいは確保したいですね。
それ以外は、会社のカレンダーに書いてある通りですね。
マネジメントのミーティング、ブレストのミーティング、外部の人とのミーティング。
ミーティングが全体の50%弱を占めていると思います。
カレンダーに予定が入っていない空白の時間は何をしているかというと、
さっきの考え事です。
ミーティングの準備は、
事前に考えてきてくださいという宿題があればやりますけど、
基本的にはあまりしません。
マネジメントのミーティングでは、
参加する社員のみんなが事前に考えてきたことを持ってくる。
それに対して僕が質問したり、考えたりする時間です。
ブレストだったら、自分のアイデアを一つ持ってきてくださいね、みたいな感じですね。
土日は、メンティと話すことも結構あります。
今、僕には弟子が4人いるんですよ。
別の会社を経営している人たちなんですけど、
土曜日や日曜日の朝8時くらいに会社に来てもらって、
10時とか10時半まで、2時間から2時間半くらい話をします。
その人の経営の状況を聞いて、
「ここはこうなんじゃないですか」「こうしたらうまくいくんじゃないですか」
と質問したり、考えたりする。
弟子入りしてくる人って、
経営がうまくいっている人ばかりではないので、結構大変な状況の人も多いんですよね。
そういう状況に向き合いながら、
一つでも学びを持って帰ってもらえたらいいなと思ってやっています。
最近ちょっとやりたいと思ってるのが、企業博物館巡りなんですよ。
僕はもともと歴史の博物館が好きで、
坂本龍馬とか東郷平八郎とか、歴史上の偉人に関する記念館には結構行ってきたんです。
古墳とか古代の歴史よりも、どちらかというと英雄が好きなんですよね。
僕からすると、起業家もある意味では英雄なんです。
その起業家がつくった会社に、
創業者へのリスペクトから資料館が残されていることがあるじゃないですか。
そういうところに行ってみたいなと思っています。
例えば、クロネコヤマトのミュージアム。
1919年にわずか4台のトラックから始まって、1970年代には一度経営危機を迎えている。
それでも今、これだけ大きな会社になっている。
そういう歴史を知るのって面白そうだなと思うんですよ。
それと同時に、
自分たちの歴史をちゃんと残していかなきゃいけないなと思っています。
会社の歴史って、写真や言葉で残しておかないと、意外と残らないじゃないですか。
そういう積み重ねはすごく大事だと思うんですよね。
だから、まずは他の会社から勉強しようかなと。
新しい趣味にできたらいいなと思っています。
それで、最初の質問に戻るんですけど、
社長って遊んでいる人が結構多いと思うんですよ。本当に。
僕は自分のことを、社長界隈の中でも普通に平凡な人間だと思っています。
高校生の時に早稲田の付属校に行って、それをすごく感じたんですよね。
地元にいた時は、自分は結構いろいろできる方だと思っていたんです。
でも高校に行ってみたら、勉強も運動も両方できる人が普通にいる。
そこで、自分って平凡なんだなと思ったんですよ。
ただ、コツコツ真面目に努力することだったら、結構勝てるかもしれないとも思いました。
だから、遊んでいる人を尻目に、コツコツ真面目に頑張る。
それが高校生の時から続いている僕の戦い方で、
ほかの会社に負けないための武器にもなっているんですよね。
質問② 大切にしている美学と、気持ちの切り替え方は?
「高橋さんの美学があれば知りたいです。また、モチベーションや家と仕事の切り替え方など、生活面も気になります」
美学って難しいですけど、パッと出てくるのは、
僕の目の前の付箋にも貼ってある言葉ですね。
「失敗体験をコンプリートしないと成功者になれない」
僕の頭の中には、経験のスタンプラリーがあるんですよ。
そのスタンプラリーに失敗のハンコを押していかないと、次のステージに行けない。
だから、早く失敗を経験しなきゃいけないなと思っています。
普通は失敗したくないじゃないですか。
失敗しないために勉強したり、失敗したくないから挑戦しなくなったりする。
でも、挑戦しなくなることこそ、成功から遠ざかることだと思うんですよね。
だから、挑戦するために失敗をコンプリートしていく。
これは結構、いつも頭の中にある考え方です。
もう一つ、すごく意識している言葉があります。
「話すは知性、話さぬは品性」
これは、なかなかできていないんですけどね。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」と似たような話だと思っていて、
成熟すればするほど低姿勢でなきゃいけないということです。
話す時には、知性やウィットに富んだことを話す。
でも、ペラペラと余計なことをしゃべるのは品性がない。
だから、自分の欲でしゃべりたくなった時には、ぐっと我慢する。
例えば、「俺はこうやってやってきたんだよね」って、
人はついつい言いたくなるじゃないですか。
でも、それって本当にその場で必要な話なのか。
別に自分がどうやってきたかを話さなくても、
相手に考えてもらって、自分で答えを出してもらえばいいこともある。
自慢したいとか、見せびらかしたいという気持ちが出てきた時に、あえて言わない。
それが「話さぬは品性」なんだと思っています。
僕自身、余計なことを言っちゃっている自覚があるんですよ。
だから、目に入るところにこの言葉を書いて、戒めにしています。
家と仕事の切り替え方については、やっぱりサウナですかね。
僕にとっては、思考を止めるトレーニングだと思っています。
くたくたになるまで働いて、
頭では考えたくないのに勝手に考えちゃうことがあるじゃないですか。
そういう時にサウナへ行って、暑い中で目をつぶって、
1時間とか2時間、何も考えない時間をつくる。
そうすると頭がすっきりするんです。
たまに自然のある場所にも行きたくなります。
公園とか草っぱらみたいな、都会じゃないところですね。
気持ちの切り替えができないというのは、
思考を止められないということなんじゃないかなと思っています。
人によっては、それが運動だったり、お酒だったりするんでしょうけど、
僕の場合はサウナなんですよね。
質問③ 座右の銘はある?
「高橋さんの座右の銘はありますか?」
座右の銘って改めて聞かれると難しいですね。
さっきの美学と結構近い気もします。
「絶対に成功する方法は、成功するまで続けること」
これは起業前に読んだ本に書いてあった言葉なんですよ。
起業する時って、すごく心配だったんです。
自分は本当にうまくいくのかなって。
その時に、たまたまこの言葉を見たんですよね。
だから、諦めない。
ずっと考えていれば、そのうち何とかなるというか、うまくいく。
これは結構意識しているので、座右の銘かもしれませんね。
もう一つ、奥さんから教えてもらったブッダの言葉で、好きなものがあります。
「すべての苦しみは執着から」
人って、何かに執着しているから苦しむんですよ。
例えば、家でゆっくりしたいと思っている時に、
奥さんから「どこか出かけよう」と言われると、
「いや、俺の時間をくれよ」って、ちょっと嫌な気持ちになることがあるんです。
それって「自分は家でゆっくりしたい」ということに執着しているからじゃないですか。
あとは、今日は絶対にラーメンを食べたいと思っているのに、
奥さんから「今日はもんじゃがいい」と言われたら、ちょっと嫌な気持ちになる。
これも、ラーメンを食べたいという自分の執着ですよね。
だから、嫌な気持ちになった時に、
「今、俺は何に執着しているんだろう」って考えるようにしています。
自分の考えに固執しているから嫌な気持ちになっているんだなと気づいたら、
一回それを手放してみる。
ただ、全部の執着を手放せばいいわけでもないんですよね。
例えば、僕が事業のことで苦しむとしたら、会社の成長に執着しているからだと思います。
何年後にはこうなっていなきゃいけない、という思いがあるから苦しくなる。
でも、それを手放したら「もう成長しなくていい」となっちゃうので、
そこは手放さないです。
さっきの「諦めなければ絶対成功する」みたいな言葉も、
ある意味では執着の行き着いた先ですよね。
だから、本当に成し遂げたいことには執着する。
でも、余計なことには執着しない。
そうすると、もっと気持ちよく生きられるんじゃないかなと思っています。
ちょうど昨日も、奥さんと犬と出かけようとしていたんですけど、
朝に犬の散歩をしてから二度寝しちゃって、
起きたら9時くらいになってしまって出かけられなかった。
昔だったら「出かける予定だったのに」「一日無駄にしちゃった」と、
すごく嫌な気持ちになっていたと思うんです。
でも、それも「出かけなきゃいけない」ということへの執着なんですよね。
そういうものを少しずつ手放せるようになってきたのかなと、
今話しながら思いました。
自分が握りしめているものを、一回手放してみる。
そうすると、ちょっと楽になることがあるんですよね。
話し手
高橋 翼
株式会社アーラリンク代表取締役社長
2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。

