社員から届いた「新卒の中でも仕事への温度差を感じる」という声。みんな同じ熱量で働くのが理想だけど、仕事への向き合い方は人それぞれ。
では、組織全体の熱量をどう上げていくのか。社員の温度差をきっかけに、会社の成長と採用、健全な競争のつくり方について話します。

仕事への向き合い方は、人それぞれ

「人によって業務に対する温度差を感じます。基本的には皆さん真面目に取り組んでいただいていますが、底上げも大切だと思うので、何かいい工夫が必要だと感じました。新卒の中でも差があるのがどこかもどかしい気持ちになります。採用の学生の見極めもすごく難しいことなのだなと率直に感じました。」

これは経営者の立場からすると、どう答えたらいいのか難しいですよね。

そもそも「温度差を感じているか」で言うと、
僕はそんなに感じていないかもしれなくて。
仕事に対する望みというか、人生に対する仕事の置き方って、
人それぞれだと思うんですよ。

例えば「若いうちにめちゃくちゃ成長したい」と思っている人なら、
そういう仕事への取り組み方をする。
逆に「そこまで成長は望んでいない」という人なら、また違う取り組み方になる。
その人なりに頑張っているんだろうな、というふうには思っています。

僕自身も「この人は仕事をこういう価値観で捉えているのかな」
と自分なりに整理しています。
「成長したい」「一生懸命やりたい」という人にはタフなミッションを渡した方がいいし、
今に満足している人には、その前提で「ありがとう」とか感謝を伝える。
そこはコミュニケーションを分けていますね。

もちろん理想を言えば、みんなやる気があって、
成長にギラギラしている方が楽しいですよ。

ただ、今そうじゃない人がいた時に、無理して辞めてもらうのか。
そこまでハードなコミュニケーションをしたいとも思っていないんですよね。

会社の成長が、組織の温度を上げる

一方で、組織の平熱を上げていくことは常に意識しています。

毎年会社が成長していれば、基本的には採用力も上がっていくと思うんですよ。
逆に採用力が上がっていないなら、
採用力が上がるように会社が成長しなきゃいけない。

例えば、今のアーラリンクの組織力が50だとして、
みんなでめちゃくちゃ頑張って65くらいの成果を出したとする。
そうしたら採用力も65になって、その力でまた新しい人を採用していく。
それをし続ける。

僕のリーダーシップで会社を成長させ続けて、採用力を上げていく。
その中で市場からいい人を採用して、
組織全体の温度をどんどん上げていきたいと思っています。

会社が成長すれば、成長の機会や新しい仕事もたくさん出てきます。
その時に「成長したい」という若手へ、難しい仕事をどんどん渡していく。
苦しみながら少しずつできるようになって、気づいたら激しく成長している。
そういう世界をギフトしていきたいですね。

今、それが10人中4〜5人にできているとしたら、
その割合を7割、8割、9割と上げていきたいと思っています。

成長したい人が、成長し続けられる組織に

高い基準の人が入ってくることで組織力が上がっていく。
一方で、今いるメンバー自身が成長していくことについてはどう考えているのか。

これは「成長したい」という気持ちにめちゃくちゃ比例すると思っています。

例えば、今パフォーマンスが50の人が1年間で15成長して65になっていれば、
後から65の人が入ってきても別に違和感はないはずなんですよ。
もっと言えば「後輩よりもっと成長したい」と、
70、75までいって迎え撃てていたら理想ですよね。

逆に「そんなに成長したくない」と思っていて、
50から51、52くらいになっているところに65の人が入ってきたら、
抜かれることが起きる。
その時に「もっとやらなきゃ」と思うのか「自分はこのままでいい」と思うのか。
そこはその人の人生なので、その人なりに判断してくれればいいと思っています。

僕は、健全な競争がない組織は良くないと思っています。
だから、新卒を少し多めに採用することを結構意識しています。
売上をつくるためだけではなく、組織づくりのためでもあるんですよね。

僕は、社員の成長意欲をすごく大事にしているんです。

成長意欲がある人に、会社を見切られたくないし、飽きられたくない。
だから刺激的な仕事をどんどん出していく。
それが好循環だと思うんですよ。

逆に成長意欲がない人ばかりになると、
「会社も無理して成長しなくていいんじゃない?」となってしまうかもしれない。
あるいは昔の僕みたいに、自分はすごく成長したいのに周りがついてこなくて、
孤高感が強くなって苦しくなることもあると思います。

今年の新卒も入社して6〜7カ月くらい経ちましたけど、
ちゃんと育ってくれていると思いますし、会社も年々良くなっていると思います。

今回この声をくれた社員は新卒なので、会社が年々良くなってきた過程を知らない。
その中で今の組織を見て「もどかしい」と感じている。
それはそれで面白いですよね。

会社がちゃんと成長していれば、採用力もどんどん上がって、会社も良くなっていく。
それも含めて、ベンチャーというものを感じてもらえたら嬉しいなと思っています。

5年、10年前から会社を見ていると、
今の社員が「これが問題なんじゃないか」と言っていることも、
昔と比べるとかなりハイレベルになっているんですよね。
つまり、課題自体のレベルが上がっている。

それは組織としてすごくいいことですよね。
それでもまだ課題があるので、その課題を克服したらもっといい会社になれる。
それをずっとやっていけば社格が上がるんだなという手応えはあります。

今回「温度差を感じてもどかしい」と言っている社員がいるということは、
その人自身は少なくとも温度感が高いということでもある。
そういう人が一人でもいてくれるなら、会社はまだまだ伸ばせると思っています。

もちろん、10人中10人が高い熱量を持っているのが理想です。
でも、その理想を持ちながら採用や会社の成長を頑張って、
「そういう会社にしていくぞ」という夢を持てるのが
ベンチャーらしいところなんじゃないかなと思います。

成長意欲の違いにどう向き合うか

「今は成長意欲がそこまでなくても、無理に辞めてほしいとは思わない」
と言いましたが、だからといって、
その状態をずっと許容しようと思っているわけでもないんです。

アーラリンクは、すごい成長欲を持って社会にいいことをしていく会社である。
ここは絶対にぶれません。

これからレベルや意欲の高い人を採用していって、
その濃度がどんどん高くなった時に、
「この会社のメインの人たちと自分はちょっと違うかもしれない」
と感じることもあると思います。

そこで頑張ることは期待したい。
でも「自分には合わない」と思うのであれば、その人自身の幸福のためにも、
別の環境に行った方がいいんじゃないかとも思っています。

別に排除したいわけではないし、きついことを言ったり、
本人が望んでいないことを無理やりやらせたりするつもりもない。
ただ、甘やかすようなこともしない。
それが僕のスタンスなんだと思います。

これは僕自身、昔すごく反省したことがあって、
人が少ない会社だと「この人に成長してもらわないと困る」
「この人がこれをできるようにならないと困る」
となってしまうんですよね。

でも、その本人が成長を望んでいなかったら、
会社と本人のWill・Can・Mustがずれてしまう。

昔の僕は「この人、もっと成長してくれないかな」と思っていました。
でも、それは経営者のエゴなんですよね。
本人が望んでいない成長を、会社の都合で求めてはいけない。

だからこそ、自分と同じように成長したいと思っている人を、
採用で丁寧に見つけていくことが大事なんだと思っています。

会社が成長し、採用力が上がり、成長したい人が入ってくる。
その人たちに新しい挑戦の機会を渡して、また会社が成長していく。
そうやって組織全体の平均を少しずつ上げていくことが、
今のアーラリンクでやろうとしていることですね。

話し手

高橋 翼

株式会社アーラリンク代表取締役社長

2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。