支援の幅を広げる、誰でもスマホの次の一手

今回は、新しい経営方針について社員から届いた4つの質問に答えます。
福祉の資格、食や就労の支援、サービスごとのブランドづくり、そして単身者を前提にしたサービスのあり方。まだ形になっていない構想も含めて、これから試していきたいことと、その先に描いている誰でもスマホの未来を語ります。

質問① 福祉の資格は必要なのか

今回は、新しい経営方針について社員から届いた4つの質問に答えていきます。

「困窮者へのアプローチについて、支援や福祉の要素が強いのかなと感じました。これから社会福祉士などの資格を持ったスタッフを雇い、就労支援などの福祉事業を広げていく予定はありますか?」

カスタマーサポートが、
AIなどで、どんどん人から機械に置き換わっていく流れがある中で、
我々は逆を取るという話を朝礼でしました。

つまりは、より“人化”していくということです。
福祉っぽい、より高度な対応や配慮が必要なことをしていく。

資格を社内のみんなが取る必要があるかと言ったら、
僕は別にないと思ってます。

監修があればいいかなと思ってるんですよ。
社会福祉士の人とかに監修してもらって、
「~で困ってる人には、~を案内した方がいいと思いますよ」
と教えてもらう。

顧問でもいいし、監修者でもいいし、詳しい人にパートナーになってもらい、
その人に教えてもらったり、難しい事例があった時に相談したりする。
そういう形でやれたらいいのかなと思ってます。

そういった相談が多くなるのであれば、
社内に常駐で1~2人、社会福祉士の人がいて、
SVみたいな立場で相談に乗ってくれるといいのかなと。

社会福祉士の資格は、
社会福祉士の業務をするにあたって必要な資格だと僕は思ってるので、
我々のカスタマーサポートが社会福祉っぽい要素を帯びていても、
資格がないとできない業務ではない。

なので、みんなが資格を取る必要があるかというと、そうではないですね。

質問② 支援する分野は食だけなのか

「高橋さんの中で、人を助けるイコール食の支援というイメージでしょうか?新しくサービスを展開するなら、衣・食・住、どの分野で手を差し伸べることを考えていますか?」

ご飯っていうのは、
セーフティーネット的な感じであった方がいいと思っています。

例えば、携帯電話代を払えなくなってしまう時って、
携帯は払わなきゃいけないお金の中でも相当優先度が高いはずなんですよ。

そうすると、もしかしたらご飯も食べられていない可能性がある。
携帯代が払えていないイコール、
衣食住の中でも特にご飯がきついんじゃないかということで、
「今、ご飯食べられてますか?我々からご飯をお送りしましょうか?」
ということはした方がいいと僕は思っています。

ただ「サービスを展開するなら、どの分野に行きますか」と言われると、
これは結構難しいです。

困ってる方のためになることだったら、
基本的に何でもやりたいと思っています。

収入を確保するとか、ご飯を確保することもそうですし、
再出発するためのステップを作っていくこともそうです。

やれることはいっぱいあるなと思っているので、
「やれそうなところから一通りやってみる」というのが近いかなと思ってます。

僕がいつも大事にしている価値観で、
「成功は挑戦量に比例する」と思っているんですよ。

なので、ここから3年ぐらいのフェーズでは、
いろんなことを試していきたいなと思っています。

いろんなことを試しながら、それに広報活動を乗っけていく。
一つのジャンルを満たせば、問題が解決するという性質でもないと思うんです。

お客様の気持ちに立って、
「何をしてくれたら嬉しいのかな」と考えていきたいです。

ただ、誰でもスマホという事業から連想しやすいというのも結構大事だと思っています。

あまりにも距離が遠いと、
それをしてくれる会社だとお客様が認識してくれないんですよ。
自分たちの中ではつながっていても、
外部から見ると分かりにくいことがあります。

だから、お客様から見ても自然につながって見えることが大事なんですよね。

質問③ 会社名とサービス名は分けて考える

「広報するにあたって、会社名がアーラリンクだったり、リスタートだったり、サービス名は誰でもスマホだったり、名前が複数あることが足かせになっていませんか?変更予定などを伺いたいです」

いい質問ですね。
まず、ブランドと会社名の話を少しした方がいいかなと思います。

例えば、コカ・コーラという会社は、
コーラという飲み物も出しているし、
爽健美茶とかアクエリアスとかもやっているじゃないですか。

一方で、会社名と商品名が一緒になっているケースもあると思います。
フォルクスワーゲンとかは、会社名とブランド名が一緒ですよね。

僕らが将来どういう立ち位置を取る予定なのかによって、
この名前の考え方は変わると思っています。

僕は今のところ、アーラリンクという会社名は、
ブランドの基準となる名前として残るものだと思ってるんです。

その上で、事業ごとに名前を全部変えていきたい。
スマホの事業だったら「誰でもスマホ」という名前にするし、
違うことを新しく始めるなら、そこにはまた別のブランド名を付けたい。

アーラリンクという会社名自体は、そんなに有名にしていく気はないんですよ。
一つ一つの商品名やサービス名が有名になっていることが重要なんです。

誰でもスマホという名前ですべてをやってしまうと、
誰でもスマホはやっぱりスマホのブランドなので、
「誰でもスマホが就労支援をやっています」と言った時に、
「なんでスマホ屋さんが就労支援をやってるの?」と頭の中がこんがらがってしまう。

そうすると、
新しく始めるサービスそのものが市場から受け入れられにくくなる可能性もあります。

でも僕は、いろんな事業をやりたいと思っているんですよ。

誰でもスマホしかやらないのであれば、
会社名を「株式会社誰でもスマホ」に変えた方が合理的かもしれないですけど、
いろんなことをやりたいと思っているので、
会社名はアーラリンクのまま置いておきたいなという感じですね。

一般社団法人リスタートも、一緒ですね。

いろんな人たちに加盟してもらって活動していく性質があると思うんですけど、
今はアーラリンクと一般社団法人リスタートが、
それぞれ1社ずつでやってしまっているような状態です。

リスタートの方は、リスタートに関わる活動をしている事業者さんに、
もっと加盟してほしいと思っています。
そもそも事業戦略が異なるっていうのはありますよね。

一般社団法人リスタートに加盟してくれている、
リスタートに関わる活動をしている人たちをみんなで束ねて、
一般社団法人リスタートとしてもっと盛り上げていく。

そういう事業計画が僕の中にはあります。
だから、もっと一般社団法人機能に振っていくというのが将来の計画です。

今は、リスタートの活動もアーラリンクの社員が少しやっていたりして、
境目が分かりづらくなっています。

でも僕の中では、一般社団法人リスタートは一般社団法人リスタートとして、
将来的にはアーラリンクや誰でもスマホとは直接関わらない活動も、
もっとやっていく予定です。

質問④ 誰でもスマホをどう見せていくのか

「メディアに積極的に出ていくことで、困窮者向けのイメージが定着し、利用者へのラベリングがなされる可能性もあると思っています。広報に出ていく中で、どのようなブランディングをされるのか気になりました」

めちゃくちゃいい質問です。

消費者の方たちに、どのように知覚されるブランドを目指していくのか。
まさに今、PR戦略を考えているところなんですよ。

ただ「困っている方向けのイメージが定着する」ということについては、
逆にしていきたいと思っています。

「何でもできますよ」というサービスが、
一番消費者から求められていないと思うんです。

だから、単身の中高年ぐらいの世代で、
このまま一人で生きていくことはほぼ決まっている。
でも、将来のことを考えると不安を抱えている。

資金的にも、十分な貯金があるから安心だというわけではない。
いわゆる普通の生活者の層ですね。
そこはずらしてはいけないと思っています。

そこをずらしたら、もう何のサービスか分からなくなってしまうので、
逆にそこは定着させた方がいいというイメージです。

梅干しを見た時に、酸っぱい味を思い出して、よだれが出てくるみたいな。
ブランドを見た時に、何を頭の中で知覚するかが大事なんですよ。

誰でもスマホを見た時に、単身の中年の男性や女性が使っている、
というふうにイメージされるブランドになっていないといけない。

ファミリーが使うとか、いろんな世代の人が使うとイメージされてしまうと、
それは逆にブランド戦略の失敗だと思っています。

今は、携帯電話の契約に困っている人のためのサービスとして認識されていると思います。
ただ、通信困窮である必要はないと思ってるんですよ。

携帯電話の契約には困っていなくても、漠然と生活に不安を感じていたり、
話を聞いてもらえる人がいなくて寂しさを感じていたりする人もいると思うんです。

一人でいることを否定されず、
それを前提にコミュニケーションやサービスが作られている。
そう認識してもらえると、
単身のお客様にとって安心になるんじゃないかなと思っています。

単身者を前提にしたサービスへ

今は、そこが通信困窮者で「通信に困っている」という前提に立ってしまっていますけど、
通信だけに絞る必要はないと思っています。

大手の携帯電話会社が絶対にやっているものがあるんですよ。
それは学割と家族割です。

これは僕の見解ですけど、子どもの時から携帯電話を獲得すると、
キャリアを変えるのは面倒くさいので、
そのまま大人になって、おじいさん、おばあさんになるまで使い続けることが多い。

だから、子どもの時に最初の携帯キャリアを取るのが大事なんですよね。

家族割は、そこに家族の口コミ力や強制力が加わる。
子どもは、お父さん、お母さんに巻き込まれて最初のキャリアを決められて、
そのまま使い続けてもらう。

それが一番の勝ち筋だから、家族割や学割があるんだと僕は思っています。

普通の携帯電話キャリアのマーケティングは、
家族を定義に作られていると思うんですよ。

でも、我々アーラリンク、誰でもスマホは、
単身者を定義にサービスを作っていく。
そこに一つの差別化があると思っています。

単身者の方にとって居心地が良かったり、
使い心地が良いサービスにしていくと、
すごく差別化が効いてくるんじゃないかと思っています
そういうふうにサービスをリブランディングしようとしています。

ただ、リブランディングするには、それだけの事業活動が伴っていないといけない。

だから、これからそういった活動をしていこうとしているというのが、
僕がこの間の朝礼で話したことですね。

話し手

高橋 翼

株式会社アーラリンク代表取締役社長

2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。