組織のWhyは話してきたけど、事業のWhyはあまり語ってこなかったんですよね

最近、意識的に社内組織から少し距離を置き、事業や市場の方を見る時間を増やしています。その中で改めて感じたのが、「なぜこの事業をやっているのか」をきちんと残していない、ということでした。誰でもスマホも、安さや審査といった表面的な特徴だけではなく、リスタートを支援するという思想が根っこにあります。

攻撃側に回ると決めた2026年

僕は最近、意図的に社内組織を見る時間を減らしています。今までは、組織と事業の間を調整する役割というか、どちらかというとボランチみたいな立ち位置にいたと思うんです。でも今年は、事業成長に対して本気でコミットしないと、理想としている成長曲線から下に垂れてしまうなと感じました。

だから、もっと攻撃的にいこうと。フォワードに近い位置で、得点を取りに行く側に回ろうと思っています。そうなったときに、今いちばん手をつけなきゃいけないのは何かというと、やっぱりブランディングだなと感じたんですよね。

表面ではなく、中身から変えたい

ホームページも、表面を整えるんじゃなくて、コンセプトから見直したいと思っています。

販売活動だけじゃなく、スタートというテーマでできることはたくさんある。今年1年で、事業の外側も含めて、次のステージに進む準備をしていきたい。前回の続きとして、そんな話をしています。

日本の経営者はストーリーを語らない

ブランディングを勉強する中で、すごく刺さったことがあります。それは、日本の企業家って、海外と比べて圧倒的にストーリーを語らないということです。商品やサービスの話はするけど、なぜそれをやっているのか、自分がどんな思いで意思決定しているのか、そこを語らない。

僕自身もそうでした。SNSもほとんどやってこなかったし、このポッドキャストも、どちらかというと社員向けの色が強かった。でも、商品ブランディングを考えると、日本人ってどうしてもプロダクトに寄ってしまうんですよね。いい製品を作れば伝わるだろう、みたいな。

でも、いい製品だけじゃなくて、その裏にある思想や感情を、創業者自身が発信しないといけない。ブランドの司令塔として、そこを担うのが社長なんじゃないかって、すごく思うようになりました。

組織のYは語ってきた、でも事業のYは?

今までの発信を振り返ると、組織のY、つまり「なぜこの組織でこうしているのか」は結構話してきたと思います。でも、事業のY、なぜこのサービスをやっているのか、なぜこの意思決定をしたのか、そこはあまり語れていなかったなと感じています。

多分それは、僕自身の立ち位置が、組織と事業の間にあったからなんですよね。だから、どうしても内向きの発信が多くなっていた。でも、今年からは外を見ると決めた。2026年度は、ブランドをどうしていきたいのか、その話をちゃんとしていかないといけない年だと思っています。

なぜを伝えることがブランドになる

僕が大事だと思っているのは、ひとつひとつの「なぜ」を伝えることです。なぜこのサービスをやっているのか、なぜこの仕様なのか、なぜこの変更をしたのか。サービスを使っている人って、その背景を知らないまま使っていることが多いんですよね。

社員もそうだし、お客さんもそうです。このラジオで僕の話を聞いて、「あ、だからこうなっているんだ」と腑に落ちる。その体験自体が、ブランドなんじゃないかなと思っています。

日本には100年以上続く企業がたくさんあります。世界の長寿企業の多くが日本にあるっていうデータもありますよね。でも、その歴史やストーリーをちゃんと伝えようとしている会社は、意外と少ない。そこは、すごくもったいないなと思っています。

鹿のロゴに込めた「再生」の意味

例えばなんですけど、誰でもスマホって、ホームページにはあまり出していないけど、実は鹿のロゴがあるんですよね。商品が届く袋とか、LINEのアイコンとか。あれ、なんで鹿かっていうと、鹿の角って一度折れてもまた生え替わるらしいんですよ。

鹿の角って、再生の象徴なんですよね。一回ダメになっても、また生え替わって新しくなる。僕らがやっている事業って、まさにそれだと思っていて。リスタート、再出発を支援するっていうのが、社会に対して約束していることなんじゃないかなと思っています。

だから、その象徴として鹿を使っている。でも正直、それをちゃんと説明できていなかったなとも思います。出すかどうかはバランスなんですけど、こういう「なぜ」を語らないと、ブランドにはならないなって感じています。

ブランドは一貫性でできている

最近すごく感じているのは、ブランドって一貫性がすべてだなってことです。もし「リスタート」が軸なら、デザインも、言葉も、キャスティングも、全部そこに寄せていかないといけない。

実は、再生の象徴、リスタートを支援する人として、この人が一番ふさわしいんじゃないかって思っている人がいるんですよ。まだ言わないですけど。普通の人です。でも、その人を見たときに、この人だなって直感的に思った。

ただ、ちょっとお話聞いたら、価格が鬼高くて、正直くじけそうにはなったんですけど。でも、それくらい本気で、一貫したブランドを作るなら、そこまで考えないといけないなとも思っています。

キャスティングにもYが必要

もしその人をキャスティングしたときに、「なんでこの人なんですか?」って聞かれるじゃないですか。そのときに、ちゃんと理由を説明できるかどうか。そこがブランドなんですよね。

この人を選んだ理由、この意思決定をした背景。それを残していくことが大事だと思っています。ラジオもそうですし、コンテンツもそう。発信すること自体が目的じゃなくて、意思決定のYを残していく。その積み重ねが、信頼になるんじゃないかなと思います。

リスタートの物語をもっと表に出す

誰でもスマホの特徴って、やっぱりリスタートだと思うんですよね。今は、価格が安いとか、審査に通りやすいとか、そういう情報はたくさん出ている。でも、本質はそこじゃない。

例えば、10年間働けなかった人がスマホを持って、社会とつながり直して、今は起業していますとか。そういうライフストーリーが、本当は一番価値があると思うんです。

リスタートを支援するって、言葉で言うのは簡単ですけど、それを実際の事業活動やコンテンツとしてどう表現し

ヘラルボニーに感じたブランドの強さ

ヘラルボニーさんっていう会社があるんですけど、JALに乗ったときに紙コップのデザインがすごく綺麗で、気になったんですよね。調べてみたら、障害のある方のアートを社会に届ける会社だった。

創業ストーリーを知ると、すごく腑に落ちるんですよ。活動そのものがブランドになっている。だから応援したくなる。ブランドって、ロゴとかコピーじゃなくて、活動そのものなんだなって、改めて思いました。

ブランドのために何かをするのではなく

ブランドのために何かをするんじゃなくて、自分たちがやろうとしていることを、ちゃんと活動に落とす。それが結果としてブランドになる。僕らの場合は、リスタートを支援するということを、もっと本気でやり続けることだと思っています。

そのための発信の場として、ラジオやメディアを使っていく。どこかに取材されるのを待つんじゃなくて、自分たちでオウンドメディアとして発信していく時代だなって感じています

2026年はブランディングの年

正直、まだ形になっているものは少ないです。でも、やろうとしていることはたくさんあります。だからこそ、まず僕が攻撃側に回って、ブランドを整えるところからやらないといけない。

マーケティングはずっとやってきました。でも、マーケティングだけでは届かない成長の壁に、今ぶつかっている感覚があります。だから、2026年はブランディングの年。これからも、このテーマについては、ずっと話していくと思います。

話し手

高橋 翼

株式会社アーラリンク代表取締役社長

2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。