事業の価値観|意味・独自性・使命感の3本柱
「起業するなら意味があることをやりたい」
今回はアーラリンクの“事業価値観”にフォーカス。
意味を感じることをする、人がやらないことをする、使命感を感じることをする。
アーラリンクの核である3つの事業価値観に込められた想いと哲学を語ります。そして価値観を言葉にすることの意味をリアルな声で届けます。
- 目次
- 僕の価値観は顧客創造にある
- 「意味のあること」に渇望してた
- 営業しないって、最初に決めた
- 「人がやらないことをやる」にこだわる理由
- 誰でもスマホが最初の挑戦
- 同じことは、やりたくない
- 「使命感」は後からついてきた
- 売れるから、じゃない
- 僕の価値観は、この3つ
- どこまで来た?イノベーター理論で見る今
- 僕らの価値観を言葉にする理由
- この回は多くの人に届けたい
僕の価値観は顧客創造にある
前回は僕らアーラリンクの「組織の価値観」について話しました。顧客創造活動から、組織人格の考え方にまで触れましたが、今回はその続きとして「事業価値観」について掘り下げていきます。
組織も事業も、結局は顧客創造活動に行き着くんじゃないかと思っていて。そこを軸に、僕が何を大事にしてるかを共有していきます。
「意味のあること」に渇望してた
僕が一番最初に大事にしてるのは、「意味があることをやりたい」っていうことなんです。これは僕の価値観そのもので、意味を感じられない仕事は絶対にしたくないって、ずっと思ってました。
起業する前、僕は正社員ではなくて、派遣とか直用、フルコミッションみたいな形で、ずっと代理店の営業をやってたんです。扱っていたのはNTTとかソフトバンク、KDDIといった通信系の商材で、しかも頻繁に変わる。自社サービスを売るわけでもなく、誰かのサービスを下ろして販売するっていうスタイルでした。
その世界では、「企業として何を大事にしているか」とか、「なぜこのサービスが存在してるのか」なんてことはほとんど語られないんですよね。ただ商品を覚えて、売る。それだけの世界で、「取れたか取れなかったか」だけがすべて。会社の世界観なんて見えないし、そういう環境でやりがいを見つけるのが難しかったんです。
だから僕は、ずっと“意味を渇望してた”んだと思います。それが起業の原動力になったのは間違いないです。「求められること」「意味のあることをしたい」って思ってました。たぶん、それが一番の原動力でした。
営業しないって、最初に決めた
普通、代理店の営業をずっとやってきた人が起業するとしたら、だいたい同じビジネスモデルで始めるじゃないですか。でも僕は、最初に「営業しない」って決めたんです。営業は得意だったし、やれば数字も取れる。でも、やりたくなかったんですよね。だから、あえて自分の得意技を禁止しました。
営業をしているとき、いつもどこかで無理をしてる感覚があったんです。お客さんが本当は望んでいないものを、それでも売らなきゃいけない場面も多くて。取れなきゃ怒られるし、数字が出なきゃ存在価値がないような世界。そうなると、結局“お客さんのため”じゃなくて、“自分のため”にやってしまうんですよね。生活のため、数字のため、自分を守るために。
でも、それがすごく嫌だった。そういう仕事って、全然意味を感じられないんです。だからこそ、「人がやらないことをやりたい」って思うようになったんだと思います。誰かのためにやってるっていう実感が持てない仕事は、僕にとって“価値がある”とは言えなかったんです。
「人がやらないことをやる」にこだわる理由
僕は「もし僕がやらなくなったら、この機能は世の中からなくなる」って思えることに、ものすごく意味を感じるんです。逆に言えば、他の誰かがもうやってることを、わざわざ自分がやる意味はあんまり感じない。それくらい「人がやらないことをやる」っていうのは、僕の価値観の中心にあるんですよね。
この考え方って、たぶん生い立ちからきてると思うんです。昔からずっと人と同じことをしたくない性格だったんです。たとえば小1のときに入ったサッカークラブでポジションを決めるとき、僕は迷わずキーパーを選びました。僕は「1人だけ違う役割」がいいなと思ったんですよ。
僕、別に目立ちたいわけじゃないんです。人がやらないことをやってると、自然と目立っちゃうってだけで。小さい頃から、ちょっとずれてるって言われることはあったんですけど、それは「わざとズレよう」と思ってたんじゃなくて、「そのほうが自分らしい」と感じてたから。だから今も、ずらしたくてずらしてるわけじゃない。でも、結果的にそうなってることが多いんです。
誰でもスマホが最初の挑戦
「誰でもスマホ」っていう事業も、まさに“人がやってなかった”ことをやろうとして始めたんです。
今でこそ格安スマホはありますけど、当時はなかった。大手3キャリアしかなくて、携帯を持てない人たちがたくさんいた。じゃあ、僕らがやるしかないじゃないですか? 「携帯を持てない人のために何かをする」って、たぶん僕らが最初にやった自負はあります。
当時もプリペイドはあったんですよ。でも、ネットにはつながらなかったし、機能的に制限が多くて。だからこそ、僕らがやる意味があったし、他がやってないことをやる、っていう姿勢でずっとやってきました。初めて買ったビジネス書が『ランチェスター戦略』だったのも、やっぱり無意識に「同じことじゃ勝てない」って思ってたんだと思います。
同じことは、やりたくない
ベンチャーが勝つためには、人がやらないことをやるのが鉄則だと思ってます。同じことやってちゃダメなんです。
でもたぶん僕の場合は、戦略としてじゃなくて「そもそも同じことやりたくない」って気持ちが先にあった。だから事業選びも「誰もやってない」「自分がやる意味がある」ってところを基準にしてます。それが、僕にとって一番自然な流れなんです。
「使命感」は後からついてきた
そして、3つ目の事業価値観が「使命感を感じること」なんです。これは、起業当初は考えてなかったですね。
ここ2〜3年で少しずつ感じるようになってきて。お客さんが増えてきて、「あ、このサービスなくなったら困る人がいるな」って思えるようになった。そうなると、自然と使命感が生まれてくるんです。
売れるから、じゃない
最初の頃は「売れるかどうか」が全てだったけど、今は違います。売れるからやるんじゃなくて「世の中に必要とされてるからやらなきゃいけない」って思うようになりました。
しかも、それをやってること自体が気持ちいいんですよね。誰かのために、世の中のためにやってる感覚があると、仕事ってすごく心地いいんです。これは、意味があることじゃないと感じられないものだと思ってます。
僕たちがやってる事業が、他に代わりがいないサービスだったとしたら、それを止めるわけにはいかないじゃないですか。だからこそ「自分たちがやり続けなきゃいけない」って強く思います。
使命感を持てる仕事って、本当に幸せなんですよ。売上や成果だけじゃない、「やらなきゃいけない理由」がそこにあるから。だから、僕はこの価値観をこれからもずっと大切にしていきたいと思ってます。
僕の価値観は、この3つ
今のところ、僕の事業価値観はこの3つです。「意味があることをする」「人がやらないことをする」「使命感を感じることをする」。
もしかしたら今後また増えるかもしれないですけど、今はこの3つが確実に僕の核になってます。それに、この価値観はお客さんにも、採用候補者にもしっかり伝えていきたい。そうじゃないと価値観のズレが起きてしまうんですよね。
どこまで来た?イノベーター理論で見る今
今、自分たちの事業がどのフェーズにあるのかっていう話で言うと、イノベーター理論で考えると「アーリーアダプター」くらいかなと思ってます。でも、キャズムはまだ超えてない感覚ですね。イノベーターは乗り越えたけど、アーリーマジョリティには届いてない。だから、まだまだ認知されてない段階ですし、これからなんですよ。
将来的には、「携帯で困ったらアーラリンク」って第一想起されるような存在になりたいです。今はまだ、100人中100人が知らないレベルだと思ってます。だからこそ、もっと知ってもらうための施策が必要だし、仕掛けていかないといけないですよね。行政からの紹介も増えてきてるけど、やっぱり一般認知はまだまだ。キャズムを超えるのは、これからです。
僕らの価値観を言葉にする理由
価値観って良い悪いじゃないと思うんです。合うか合わないかだけ。でも、それを僕らが発信してなかったら、ミスマッチが起きてしまう。だから、特に採用を考えている人たちには、この価値観をしっかり伝えたい。
「意味があることをやる」「人がやらないことをやる」「使命感を感じることをやる」。うちはこういう会社ですってちゃんと伝えたいんです。
この回は多くの人に届けたい
今回のラジオは、いつも以上に多くの人に届いてほしいと思ってます。
特に、僕らの価値観に触れてもらう意味では、採用活動をしてる方とか、パートナー候補の方にも聞いてほしいですね。価値観を知ってもらって、「あ、なんか違うな」って思ったらそれも一つの成果ですし、「いいね」って思ってくれる人がいれば、もっと一緒にいい仕事ができると思うんです。
価値観っていうのは、ただの理念じゃないと思ってます。事業をどう進めていくか、人とどう関わっていくか、すべての判断軸になるものです。それを言葉にして、伝えていくこと自体が、僕らの仕事の一部だと感じてます。
今回話したこの3つの価値観は、今後のアーラリンクの根っこになると思うし、これからも何度でも言葉にしていきたいです。

話し手
高橋 翼
株式会社アーラリンク代表取締役社長
2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。