速さと丁寧さ、ルールと柔軟性。『二項対立』を乗り越えるには
「矛盾してるけど、どっちも取るしかない」
高橋さんが伝えたのは社会人として成長するために必要な「二項対立を乗り越える力」。
速さと丁寧さ、実用性とデザイン、ルールと柔軟性──日々直面する二項対立の中で、どちらか一方ではなく最大公約数を取る力を育てることの大切さを語ります。
- 目次
- 新卒研修で伝えているスタンス
- 社会人に必要な力=二項対立を乗り越える力
- 新卒たちと二項対立大喜利をやってみた
- 育成における優しさと厳しさ
- 無意識の二項対立を言語化する
- 貧困とは「選択肢がない」こと
- 選択肢を持つために今、成長しよう
- 矛盾に向き合い最大公約数を取る
- 人生は二項対立、その中で最適解を探す
- 今週も二項対立に挑もう
新卒研修で伝えているスタンス
僕は今、新卒の8人に向けて毎日1時間くらい新卒研修をやっています。だいたい延べ10日間分くらいですね。
そこで会社の行動規範、いわゆるスタンスについて話すようにしているんです。今回はその中からひとつ、ラジオでも共有したいなと思って持ってきました。
社会人に必要な力=二項対立を乗り越える力
社会人になると大事なのは、二項対立しているものをどう乗りこなすかだと思っています。
丁寧にやろうとすると遅くなるし、早くやろうとすると雑になるじゃないですか。これってまさに矛盾なんですけど、僕は「矛盾」よりも「二項対立」って言葉のほうが好きで、そっちを使っています。
二項対立をうまく乗りこなす人って、最大公約数を取れる人なんですよね。100丁寧で100早いは無理だけど、90丁寧で90早いならかなりすごいじゃないですか?僕は新卒たちにも「最大公約数を高く取れる社会人になろう」って伝えているんです。
新卒たちと二項対立大喜利をやってみた
新卒研修では、二項対立を考える「大喜利」をやってます。世の中にある二項対立って何だろう?っていうお題を出して考えてもらうんです。これがけっこう面白くて、今日はいくつか抜粋して紹介したいなと思いました。
【実用性とデザインの二項対立】
ある新卒が出してくれたのが「実用性とデザイン」。実用性を高めるとデザインが損なわれ、逆にデザインを重視すると実用性が落ちる。これってUIとかにすごく通じる話なんですよね。見た目と使いやすさ、両立が難しい。でもうまくやればすごく価値が出るところです。
【ルールと柔軟性のバランス】
また別の子は「ルールと個別最適」と言ってました。例えば、会社のルールでは拾った落とし物は指定の場所で渡すべき。でも目の前に落とした本人がいたら、すぐ渡したほうがいい場面もあるじゃないですか。ルールを守るのか、目の前の現実に応じるのか。このバランスも二項対立なんです。
【忙しさと丁寧さの両立】
さらに、忙しさと丁寧さも典型的な二項対立ですよね。忙しいと雑になるし、丁寧にやると時間がかかる。でも社会人は忙しくても丁寧さを失わないことが求められる。これも新卒たちと一緒に考えたテーマです。
【短期と長期、投資と利益】
サバイバルと長期成長。つまり短期的に売上を作って生き残らないといけない一方で、長期で人を育てたり、会社を育てていく必要がある。短期と長期、どっちも大事なのにめちゃくちゃ矛盾してるじゃないですか。
たとえば、来年、再来年に向けた売上目標がある。でもそれには今の人数じゃ無理だったりする。でも人を増やすと今度は利益が減っちゃう。目の前の売上も、未来への投資も、両方求められる中でギリギリのラインを攻めていくしかない。これも二項対立の典型例ですよね。
育成における優しさと厳しさ
もうひとつ、僕がよく話すのは「優しさと厳しさ」です。
人を育てるとき、優しさだけでもダメだし、厳しさだけでもダメじゃないですか。ちょうどいいバランスを取るって本当に難しい。でも、それを意識して向き合うことが、いい成長につながると思っています。
無意識の二項対立を言語化する
実はみんな無意識のうちに二項対立と戦ってるんですよね。でも、それを言語化して意識できるかどうかで成長のスピードが変わると思っています。僕も昔は知らずにやっていました。でも言語化してからすごく意識できるようになったんです。
僕がすごく大事にしているのは「どっちか一方を極端に取らない」ってことです。たとえば、忙しいからって丁寧さを完全に捨てるのも違うし、逆に丁寧さばっかりでスピードがないのも違う。最大公約数を取る意識を持つことが、社会ではすごく求められるんじゃないかなって思ってます。
貧困とは「選択肢がない」こと
僕らは困窮問題に取り組んでいる会社なので、やっぱり若い人たちにも必ず伝えていることがあります。貧困とは何かっていうと「選択肢がないこと」なんですよね。
お金がないことも、結局は選べないっていう状態を指している。だから僕ら自身も選択肢を持つために成長しなきゃいけないっていう話をしています。
選択肢を持つために今、成長しよう
選択肢を持つためには、やっぱり一定以上の能力とか自由度が必要なんです。だから若いうちにちゃんとスキルを身につけて、キャリアの幅を広げようぜっていうメッセージを毎回、新卒にも社員にも伝えてます。貧困にならないために、自由な人生を生きるために、成長しようって。
特にアーラリンクには若い社員が多いから、必ずこの話をするようにしてます。お客さんが困ってるのは選択肢がないから。だから僕たちは、選択肢を増やす存在でありたいし、自分たち自身も選択肢を持った生き方をしようぜって伝えてます。それが僕たちのビジョンに繋がるんです。
矛盾に向き合い最大公約数を取る
社会には矛盾だらけで、理不尽なこともたくさんあるじゃないですか。でも矛盾に対してただ不満を言って終わるんじゃなくて、最大公約数を取ろうと頑張る。そうすることで初めて、社会に価値を出せるし、自分自身も選択肢を広げることができるんじゃないかと思ってます。
矛盾があること自体はもうしょうがないんですよね。だから、その中でどう最大公約数を探して、どうやって前に進むか。それを考えて行動できる人が、やっぱり選択肢ある人生に近づけるんじゃないかなって僕は本気で思ってます。
人生は二項対立、その中で最適解を探す
結局、人生って二項対立だらけなんですよね。だから人生は難しいんだなって思うんです。どっちか一方だけ取るなんて、そう簡単にはいかない。どっちも取らなきゃいけない。でも、それが面白さでもあるし、成長のチャンスでもあるって僕は思ってます。
二項対立に答えなんてないんですよね。速さと丁寧さ、優しさと厳しさ、サバイバルと長期成長。どれも毎回そのときそのときで、最適解を探すしかない。だからこそ、思考することが大事で、それを続けることが社会人としての成長につながるんだろうなって思います。
今週も二項対立に挑もう
ということで、今日も月曜の朝から二項対立の話で盛り上がりましたけど、今週もまた、たくさんの二項対立に向き合うことになると思います。最大公約数を意識して、前向きに乗りこなしていこうぜ、っていうことで締めたいと思います。

話し手
高橋 翼
株式会社アーラリンク代表取締役社長
2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。