「同窓会に行ける自分でいたい」
25歳で起業を決めた時、その理由の一つにあったのが同窓会でした。昔の仲間に胸を張って会える自分でいること。そして今、自ら同窓会を企画する中で感じた、昔のつながりの面白さや、昔と今の答え合わせ。
同窓会をきっかけに、起業した頃の思いを振り返ります。
『同窓会』に行ける自分でいたかった
僕、同窓会の幹事をやってるんですよ。
中学校と高校、それぞれ11月に2週連続であって、今その準備をしています。
僕が起業した理由の一つに、
「将来、同窓会に参加する」というのがあったんですよ。
25歳の時、早稲田を3留して卒業して、
3.11の影響もあって仕事がなくなって、所属していた会社も辞めました。
本当に何もない25歳のニートが爆誕したんですよ。
2011年の5月か6月くらいだったと思います。
社会も計画停電をしているような時期で、
サイゼリヤでミラノ風ドリアを食べながら起業することを決めました。
その時にずっと考えていたのが、
「このままの人生でいいのかな」ということでした。
そこで頭に浮かんだのが、
「将来同窓会に行けなくなるんじゃないか」という不安だったんです。
このまま自分に自信を持てないような時間の過ごし方や社会との関わり方をしていたら、
いつか同窓会に誘われた時に、
「俺なんかが行っていいのかな」と思ってしまうんじゃないか。
久しぶりに会った友達から、
「今何やってるの?」と聞かれた時に歯切れよく答えられない。
そうなったら、きっと同窓会に行きたくなくなるだろうなと思ったんですよね。
昔の友達と再会する時に、自分に引け目や負い目があるから会えない。
それはすごく寂しいし、苦しいなと思ったんです。
そんな人生は嫌だから、今からちゃんとしなきゃいけない。
それが、僕が起業しようと思った理由の一つでした。
誰もやらないなら、自分でやる
今回、中学校の同窓会をやろうと思ったのも、
「このまま待っていても、誰もやらないんじゃないか」
と思ったのがきっかけでした。
やろうとなったらパワーは使うと思ったんです。
でも、自分が普段仕事でやっているリーダーシップとも
すごく相関性があるなと思ったんです。
何十年も連絡を取っていなかった人たちに声をかけて音頭を取る。
ちょっと空気を読まない力が必要なんですよね。
最初は地元の友達8人でご飯を食べている時に、
「誰もやる人がいないなら、やろうぜ」
と自分が言ったところから始まりました。
ただ、すぐやらないと絶対に動かないので、
「ここにいない地元の友達一人に今日中に声をかけて」と。
8人が一人ずつ誘えば16人になる。
その16人がまた一人ずつ誘えば32人になる。
それを何回かやれば結構集まるんじゃないかと。
実際、一週間で90人くらいのLINEグループができました。
でも、ここからが難しいんですよね。
90人いるLINEグループに、
「皆さま、ありがとうございます。同窓会を企画したいと思っています」
と最初に発言する。
「なんでお前が言うねん」って感じじゃないですか(笑)
僕も極力言いたくないんですよ。
たぶん、みんなそうなんです。
だからこそ、空気を読まないことができる人がやるしかないと思ってやりました。
今のところ80人くらいが出欠に回答してくれて、
40人が「行くよ」、40人が「行けないよ」という感じでした。
その「行けないよ」という人、回答しない人、
そもそもLINEグループに招待されていない人とか、
いろんな人が出てくるわけじゃないですか。
その景色を見た時に、25歳で起業した頃のことを思い出しました。
15歳で地元の中学校を卒業して、25年以上経った今、
「同窓会やろうよ」と声をかける側になっている。
そういう意味では、起業した時に思い描いていたことは、
今のところ達成できているんですよね。
25歳の時の自分が感じていたことって、
そんなにずれていなかったんだなと思いました。
昔の人間関係だからこそ、見えるものがある
これは僕が同窓会というものを大事に考えているだけで、
みんなにとって同窓会がそんなに大事なのかという話はあります。
「中学校の頃の人間関係なんて忘れたい」という人もいるでしょうし、
昔のつながりがなくてもいいという人もいっぱいいると思います。
僕の場合は、中学校時代も割と仲良くやっていました。
嫌いな人もそんなにいなかったし、好きな友達も多かった。
同窓会といってもハードルを上げたくないので、
とにかく集まって喋ろうぜと。
また来年も再来年もやっていこうっていう。
これは毎年やるのが大事だと思ってるんですよ。
高校のクラス会も毎年やるようにしています。
せっかく知り合った人間関係を、
そのまま使わなくなってしまうのがもったいないと感じるんですよね。
仕事で知り合う人って、何かしら共通項があるじゃないですか。
業界が近いとか、経営者同士だとか、何か利害関係があるとか。
でも、そういうのが全くない人間関係ってある意味貴重だなと思っていて。
その人たちと会ったら、それはそれで楽しいんだろうなと。
学びもすごくあると思うんです。
じゃあ「学びって何ですか」となりますよね。
高校は受験して入っているので、
ある程度同じフィルターを通った人たちが集まっています。
でも地元の中学校は多様性がある。
今回、日程調整のサービスを使っただけでも、
「これ何?」「広告ばっかりのURLだけど大丈夫?」
みたいな反応があったり。
会費も1万円くらいでいいかなと思っていたら、
「1万円は高い」「いや、安い」といろいろな意見が出たり。
場所も大宮あたりでいいんじゃないかと思っていたら、
「大宮かよ、地元でやろうぜ」という声が出てきたり。
地元にいる人ならではの感覚があって「すごい斬新だな」と思ったんですよね。
普段自分が接している人たちとは違う考え方に触れて、
「そういう考え方もあるんだ」
という発見がたくさんあって、すごく勉強になっています。
同窓会は、自分の「答え合わせ」
僕が同窓会でやりたいことの一つが「答え合わせ」なんですよね。
あの時、真面目だった人は今どうなっているんだろう。
やんちゃだった人はどうなっているんだろう。
おしとやかだったあの子は、元気だったあの子は、今何をしているんだろう。
その答え合わせをする中に、
勉強になることがあるんじゃないかなという期待値がすごくあるんですよね。
「昔あんなんだったのに、今どうしちゃったんだよ」とか言われたいし、
「俺って昔と変わったかな?」とか聞いてみたい。
「いや、変わってないよ」と言われるのか。
「ここは変わってないけど、ここは変わったよね」と言われるのか。
それもすごい発見がありそうだし、ある意味、原点回帰ですよね。
あとは、同級生って同い年で、
今どんな生き方をしていても基本的にはフラットな関係じゃないですか。
そういうコミュニティって、今考えると結構貴重だと思うんですよね。
それを失いたくない。
しかも、自分が過去に過ごしたコミュニティは一つしかない。
だから僕は、そういう人間関係を大切にしたいという気持ちがあるんだと思います。
でも、どっちかというと、僕の方がマイノリティなんだろうなという気がします。
「昔の人とはちょっと合わないんだよね」みたいな人の方が多いのかもしれない。
僕が言いたかったのは、起業する時に思ったことですけど、
今の自分に対して「お前、何してんの?」って聞かれたときに答えたくないと、
同窓会に行きたくなくなってしまうってあると思うんですよ。
そうならないように、日々充実しているというのが大事だったりする。
僕はその一つの基準を「同窓会」に置いていたんですよね。
それが、自分で自分を嫌いにならないようにするために
日々一生懸命生きることにつながっていたなと。
僕にとって同窓会は、
そういう意味でも大事なイベントになっていたんだと思います。
話し手
高橋 翼
株式会社アーラリンク代表取締役社長
2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。

