なぜ「誰でも使えるサービス」は不信感を持たれてしまうのか。

「審査が簡単」「誰でも使える」という特徴が、なぜ不安や疑いにつながるのか。    契約者の方と直接お会いする中で見えてきた現実と、その理由に向き合います。行動心理や消費者心理の視点から、思い込みや見えない不安の正体を整理し、サービスの仕組みについて解説。その上で、信頼をつくるために企業として求められる“説明する責任”について考える回です。

お客様の不信感と向き合う

まず、僕はこの番組を、お客様と誰でもスマホの代表者である僕自身がつながれる場にしたいと思っています。「これってどうなってるんですか?」と聞いていただければ、僕が「僕はこう考えていますよ」と回答しますので、サービスへのご意見でも、ご感想でも、ご要望でも、ぜひコメントしていただきたいです。

今日は、前回もちょっとお話しした、お客様とのイベントの話から入ろうと思います。誰でもスマホを契約してくださったお客様と実際にお会いする機会があって、そのイベントはこれからも定期的にやっていきたいと思っているんです。地方にも行って、地方のお客様にも直接お会いして、誰でもスマホのことをどう思っているのか、どういう改善をしてほしいのか、なんで契約してくださったのか、そういうことを聞いていきたいなと思っています。

その中で、契約してくださったお客様の何人かに言われたことがあります。たぶん半分ぐらいの方がそう思ってるんじゃないかなという話なんですけど、誰でもスマホに対して、すごく疑心暗鬼な方がめちゃくちゃ多い。疑っているんです。
しかも、それって契約する前の人じゃなくて、契約した人がそう思ってるんですよね。それでも契約してくださっているということ自体、すごくありがたいことなんですけど、普通疑っていたら契約しないじゃないですか。でも、それでも契約してくださっている。

だからこそ、「疑う気持ち」を抱かせてしまっていること自体が、僕はすごく良くないなと思っているんです。今までもそういった課題はあったんですけど、ちょっと優先順位が低くなっていたところもありました。でも改めて、何十人ものお客様に会う中で、半分ぐらいの方が気になっていて、これはちゃんと向き合わなきゃいけないなと思ったんです。
そこで、そもそもなんで僕らはこんなに疑われてしまうのか、ということを改めて考えようという取り組みを始めています。僕は結構、概念とかから考えるのが好きなので、行動心理学とか消費心理学とか、そういった考え方に当てはめながら勉強しました。

その中で見えてきたのが、誰でもスマホは「独自審査」「簡単審査」で、比較的誰でも契約できる。つまり障壁が低いということ。その裏側に「何か裏があるんじゃないか」と思われてしまう、ということでした。

「簡単」の裏にある不安

携帯電話会社って、与信とか審査をみんな厳しくやっているじゃないですか。それって何かしら理由があるはずだ、と多くの人は思っている。なのに、僕らは独自審査で、比較的簡単に審査が通りますよと言っている。その時に、「何か隠された情報があるんじゃないか」と感じられてしまうんですよね。

たとえば、個人情報を入れたらどこかに売られてしまうんじゃないかとか、解約させてもらえなくなるんじゃないかとか、あとから高額な請求が来るんじゃないかとか。そういう「隠された何か」を想像させてしまう。これが、不審感が生まれる大きな理由の一つなんだろうなと思っています。

今の時代背景もたぶん関係していて、たとえばマッチングアプリでも「審査制」を打ち出すことによって、会員の質を担保していますよ、ということを価値にしていて、審査が厳しいこと自体が、いいサービスの証明みたいになっているところがある。そういう中で、「誰でも使えます」「審査が簡単です」と言うと、逆に「そんなことあるんですか?」と怪しく見えてしまうんですよね。

不信感をなくす取り組み

ただ、僕らはそれに対して何もしていないわけじゃなくて、実はすでに結構いろいろやっているんです。

たとえば、
・不安を持たれないように、初期費用や送料をいただかない。
・端末を買う時も代引きにして、商品が手元にある状態でお金を払えるようにする。
・契約の縛りなし、解約金なし。

不信感を持たれそうなポイントに対して、サービスの中ではかなり工夫してきたつもりです。

その上で、さらに今やろうとしていることもあって、それがこのポッドキャストなんです。
どういう人が経営しているのか、顔が見える状態をつくること。
あとはYouTubeで「なぜ誰でも契約できるのか」を徹底的に解説するコンテンツをつくろうと思っています。
スライドも使いながら、仕組みとしてちゃんと説明する。
“なんでこのサービスが成り立っているのか”を見える形にしていく必要があるなと思っているんです。

ファントムコストを見える化する

ここで面白いのが、「ファントムコスト」という考え方なんです。隠れたコスト、見えていないコストですね。

たとえば、異常に安い飛行機の航空券はただ安いだけだと、なぜか買われにくいんです。なぜかというと、安すぎると「機体整備がちゃんとされていないんじゃないか」とか、「墜落するんじゃないか」とか、そういう見えていないリスクを人が勝手に上乗せしてしまうからなんです。実際の価格は安いんだけど、頭の中でファントムコストが乗ることで、結果的に高く見えてしまう。だから買わない。

逆に、「座席がすごく狭くて不快だから安いですよ」とちゃんと書くと売れるようになる、という話があるんです。悪いことを書いた方が売れる。要するに、隠れたコストが見える化されると、人は納得できるんです。

なぜ誰でもスマホは成立するのか

じゃあ実際に、僕らはなぜ独自審査で誰でもスマホをやれているのか。ちゃんと仕組みがあるんです。他社が審査を厳しくしているのは、リスクを抑えたいからですよね。僕らは、そのリスクをゼロにしているわけではありません。でも、許容できる範囲に抑えることができている。そこに僕らの能力があるんです。

リスクって、大きく分けると二つあるんですよね。一つは、リスクが起こる人の数。もう一つは、一人あたりのリスクの金額です。

人のリスクを抑える仕組み

リスクが起きる人の数を減らす工夫として、独自審査の中で反社チェックをやっています。
悪用しようとしている人は、お断りするようにしているんです。反社チェックの方法も、新聞データベースのようなものを使って、過去の情報まで見ていく。そういう形で、適切に使ってくださる方なのかを確認しています。

あとは、支払い方法を多様にしていることですね。コンビニ払いが使えるようにしている。他社でコンビニ決済ができる格安スマホはないけれど、僕らはそこをやっている。実際、95%以上の方には普通にお支払いいただけているんです。

さらに、運営の内製化もすごく大きいと思っています。エンジニアも、カスタマーサポートも、物流センターも、サービスに関わるものを全部社内でやっているんですよね。だから、何かちょっとおかしいことがあったら、すぐ対応できるんです。

しかも、僕は会社をワンフロアでやることにすごくこだわっていて、なんでそうしているかというと、会社の中を歩いている時に、ちゃんとみんながどう動いているか見られるからなんです。全部が見える場所で運営されていること自体が、サービスの健全性につながっているんじゃないかなと思っています。

金額のリスクを抑える仕組み

じゃあ次に、「一人あたりのリスク金額」をどう抑えているのかという話です。
①かけ放題がついていること。
これによって、電話を使いすぎて料金がどんどん上がってしまって、最終的に支払えなくなる、みたいなリスクを防いでいます。

②キャリア決済ができないようにしている。
いわゆるドコモ払いとか、auのまとめて払いみたいなものですね。「先に使って後で払う」仕組みをなくしている。

③端末の購入やギガの追加なども含めて、すべて前払いにしている。
後から請求する仕組みを極力なくしているんですよね。これによって「リスク額」を減らしています。

つまり、リスクの「人数」と「金額」を最適化することによって、誰でもスマホのサービスが成り立っているんです。

<

信頼は説明から生まれる

あと、もう一つ大きかったのが、「代表性ヒューリスティック」という考え方です。これは簡単に言うと、人は全部の情報をちゃんと考えることができないから、何か一つの情報を見たときに、「きっとこういうことだろう」とパターンで判断してしまう、というものです。

その中で、「審査不要」とか「簡単審査」という言葉を見たときに、多くの人は高リスク・高コストなサービスを想定しちゃうんです。無意識に結びつけてしまう。これが代表性ヒューリスティックです。

ここを乗り越えるためには、やっぱり料金や仕組みをしっかり明確に見せていく必要がある。月額料金だけじゃなくて、解約金がかからないとか、初期費用がかからないとか、そういう情報が一目で分かるようになっているかというと、今のホームページはまだそこまでできていないなと思っています。

善意だけでは信頼されない

これは結構本質的な話なんですけど
僕らのサービスって社会的にすごく意味のあるものだと思っているんですよね。リスタートしたい人にとって必要なインフラですし、そういう方を支援したいという気持ちでやっています。

ただ、その「善意」だけを伝えてしまうと、逆に怪しく見えてしまうんです。これって詐欺師の手口と一緒なんですよね。だから、ちゃんと伝えないといけないのは、「僕らも利益を出している会社ですよ」ということなんです。NPO法人ではなくて株式会社としてやっている以上、このサービスを通じて収益を得ている。それをちゃんと説明することが大事。

実際、消費者の方って、「企業が儲けること」自体にそこまで嫌悪感を持っているわけではないんです。不当に儲けていたらもちろん嫌ですけど、適切に利益を出している分には、むしろ納得できると勉強しました。

だからこそ「どうやって利益が出ているのか」をちゃんと説明できる状態にすることが信頼につながるんだと思っています。

伝える責任

今日一番お伝えしたかったのは、「怪しく見えてしまっている理由は、ちゃんと構造的に説明できる」ということと、「その説明をこれまでちゃんとやってこなかったのは、自分たちの課題だった」という反省です。

これはお客様が気づかせてくれたことなんですよね。だからこそ、もっと真摯に向き合って、YouTubeをつくったり、ホームページを改善したり、いろんな形でちゃんと伝えていかないといけないなと思っています。このポッドキャストも、「こういう人が経営しているんだな」ということをお伝えする一つの材料になったらいいなと思っています。

話し手

高橋 翼

株式会社アーラリンク代表取締役社長

2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。