自分の中で叶えたいと思っていたことがあるんです。
携帯料金の滞納や審査の問題で、スマホを契約できない人が日本には数百万人いると言われています。携帯番号がないと仕事に応募することすら難しい時代の中で、なぜそんな人たちが生まれているのか。その背景には、後払い消費の広がりや家族に頼れない人の増加など、社会の変化があります。通信営業での苦悩と、「お客様に感謝され、長く使ってもらえるサービスを作りたい」という想いから生まれたのが「誰でもスマホ」です。携帯を持てない人がもう一度働き、社会に戻るための再スタートを支えるサービス。その創業の原点と、事業に込めた思いをお話しします。
番組リニューアル
「スーパークレイジーソーシャルベンチャー」というポッドキャスト番組をこれまでやっていましたが、リニューアルして今回からは「THE 誰でもスマホ」としてスタートします。
今まではどちらかというと社員とか求職者とか、インナー向けに話すことが多かったんですが、今回からは世の中のお客様とか、社会の方にも届くような内容にしていきたいなと思っています。
第1回ということで、今日は「なぜ誰でもスマホを始めたのか」この話をしていきます。この番組は台本なしで喋っていますので、稚拙なところとか、その場感がかなりあると思うんですけど、それも楽しんでいただけらいいかなと思います。
誰でもスマホの原点
「誰でもスマホ」自体が始まったのは、2023年1月です。格安スマホブランドとしてスタートしました。リスタートモバイルをすることをずっとやってきたんですけども、起業したのが2011年10月なので15年くらいこの活動をやっています。
当時は格安スマホというものがなかった。
あったかもしれないけれど、25歳の時にアパートの一室で会社を作った、この状況で参入できるような感じではなかったです。
じゃあどうしたかというと、自分で携帯を契約して、それを携帯を持っていない方にレンタルする。そこからこの事業は始まっています。最初はお店もありませんでした。ホームページからお問い合わせいただいて、お店がないのでこちらがお届けに上がるみたいなスタイルで、カフェとかで待ち合わせするんです。
ガラケーから始まったスマホ事業
その頃はスマホじゃなくてガラケーの時代でした。
ちょうどガラケーからスマホに切り替わるかどうかぐらいのタイミングですね。iPhoneが出始めた頃で、レンタルのiPhoneはiPhone5Sくらいから。iPhone5の時は高すぎて買えなかったですね。だから当時はガラケーが中心でした。
毎日1件とか2件とかの契約でお届けしていて、当時は24時間365日みたいな体制で全部自分一人で対応していました。カスタマーサポートから何から全部。夜10時にお届けするとか、夜12時に行くこともありましたね。土日も休まずやっていましたし、今思うとかなり壮絶でしたね。
ノルマ営業の先に見えた起業
じゃあなんでこの事業を始めたのかというと、大学生の頃に遡ります。
大学生の時に、通信会社の代理店でずっと働いてたんですよ。当時は光通信の影響が強い時代で、営業もかなり体育会系でした。法人携帯とか光ファイバーを法人個人に販売していたんですけど、ノルマが厳しくて絶対に取ってこないといけない時代だったんですよ。それを経て起業しようと思いました。
心の中にあった3つの原則
自分の中で叶えたいと思っていたことがあるんです。
1. お客様との関係が長く続くこと。
2. お客様に感謝してもらえること。
3. 自分から営業するんじゃなくて、お客様から問い合わせが来るモデルにすること。
これは完全に、大学生の頃にやっていた営業のしんどさから来ています。
当時は本当にプッシュ型でした。1時間で60件とかガンガンテレアポしてましたし、飛び込み営業もしてました。田舎の商店のおじいちゃんおばあちゃんが出てくると、ちょっと安心して熱量高めに話して契約してもらう。そういうことをお客さんにやっていました。
でも新規営業って、契約したら終わりなんです。だから、常に新規、新規、新規でした。代理店は、新規を取ったらインセンティブが出るモデルなので、新規を取ってなんぼなんですよ。ほぼ、もう会うことはない。そういう仕事の仕方にすごく疲れていて、一生やりたいとは全く思えませんでした。だからこそ、自分がやるなら、お客様に感謝してもらえて、お問い合わせがあって、長く使っていただけるサービスがいい。心の中にあった3原則ですね。
他の人がやらないことをやる
もう1つ大きかったのは、他の人がやってないことをやりたかったということです。リスタートモバイル市場という名前をわたしがつけてるくらい、当時はそういう市場がなかったですね。
代理店にいると、代理店同士でぶつかるんですよ。例えばNTTのフレッツ光を売っている時に、他の会社も同じフレッツ光で営業しているみたいな。どこで契約しても一緒っていう。そこに何のためにこの仕事をしているのか、自分たちの価値は何なんだろうって苦しんでいました。
だから、自分たちなりの価値を明確にしたかったので、他の人ができないこと、やらないことをやろうと。
変わらないのはお客様への思い
お客様から感謝される、お客様に気持ちよく使っていただけるものを作りたいっていうのが一番。そこは今も変わっていません。一方で、サービスの形はすごくバージョンアップしました。「自分が携帯を持てなくなったから、携帯を持てるようにしたい」というお客様の課題は同じだけれど、持てるようになって、仕事に就いて、過去の負債や滞納が全て返済されたら自分が好きな通信会社が選べるようになるのがゴール。
レンタルの時代は、僕らから携帯を借りる形でした。
当時は、世の中全体の携帯料金も高かったですし、僕らのレンタル料も月額1万2,000円から1万5,000円くらいだったと思います。ガラケーのかけ放題が出始めた頃で、それくらいの水準でした。今思うとすごい高い。キャリアの料金自体が高かったし、そこに僕らのコストも乗る。それでも、お客様が増えていくことで仕入れ条件も少しずつ改善して、料金はだんだん下げられるようになりました。1万円を切るようになって、スマホに切り替わってからは、3GBかけ放題付きで7,980円とか。今から見るとそれでも高いんですけど、それを7、8年ぐらい前までやっていました。
誰でもスマホ誕生
そこから格安スマホに参入できるようになったのが2023年1月です。
ここで「誰でもスマホ」というブランドが始まりました。格安スマホとして参入できたことで、キャリアにより近い立場でサービスを作れるようになり、今までよりも回線の仕入れ原価を抑えられるようになって、その分、お客様にもっと安く提供できるようになりました。しかも、レンタルではなくなったので、返却が必要なくなりました。
レンタル時代は解約したら端末を返さなきゃいけなかったので、本体も電話番号も返さないといけない。つまり、使っていたものが全部なくなってしまうんです。でも、今の誰でもスマホはやめるときにMNPで他社へ移行することができます。
慣れ親しんだ端末も、電話番号も、そのまま持っていけるようになりました。商品としてすごく良くなったと思います。
誰でもスマホとは
じゃあここで、改めて「誰でもスマホ」とはどんなサービスなのか。すごくシンプルに言うと、格安スマホです。実は格安スマホの会社は、1,700社くらいあります。その中でも、最近のトレンドでいうと、JCOMさん、JALさん、電気やガスの会社さんとか、自社のお客様がいる会社が副商材としてスマホを提供するケースです。
例えばメルカリさんは、ギガをメルカリで出品できるとか。JALさんだったらマイルが貯まるとか。楽天モバイルだと楽天経済圏のユーザーに対してスマホを提供している。これが今の主流です。
でも僕たちは、お客様ゼロのところからスタートしています。その中でも携帯電話を持ちたくても契約できない方に特化したブランドです。
携帯を持てない400万人
「誰でもスマホ」は、いわゆるブラックリストの方でも契約できる格安スマホです。
つまり、自分名義で携帯契約ができない人でも持てるスマホ。
じゃあそういう人って、世の中にどれくらいいるのか。正確な統計はないんですが、自分なりに計算していて、400万人くらいじゃないかと。日本の大人は約8,000万人なので、大人20人に1人くらいの割合です。
家電量販店とかキャリアショップの店員さんに100人くらいに「携帯の新規契約を100件とったとき、審査に落ちる
人ってどれくらいるんですか?」と聞くと、だいたい「10人に1人」って言うんですよ。だから僕が出した20人に1人という数字は、そんなにズレていないんじゃないかなと思っています。
後払い社会の落とし穴
じゃあなぜそういう人が増えているのか。
端的に言うと、BNPL(バイナウペイレイター)の消費がすごく伸びていること。つまり「先に買って後で払う」という仕組みです。クレジットカードもキャリア決済もそうですし、後払いサービスとかいろんなものがあります。
この10年くらいで、「先に買う、支払いは後」という消費が勃興しました。そうすると、勢いで買ったけど支払いができなくなる、そういうケースが増えています。
家族を頼れない人たち
もう1つ大きいのが、家族の存在です。
もし家族がいれば、家族が契約して借りることができるんです。そうすれば一時的には解決できます。その間に滞納分を返して、また自分名義の携帯に戻ればいい。
「誰でもスマホ」は、家族がいなくて借りる人もいない方が持たれるケースが非常に多い。晩婚化とか、未婚率も上がっていますし、バイナウペイレイターの流れとか、社会的な問題も多いです。
スマホから始まる再スタート
もう1つの問題は、携帯がないと仕事に就けないことです。
例えば、携帯料金を滞納してしまって、払うために「じゃあ働いてお金を稼いで返せばいいじゃないか」とよく言われます。でもそうするには携帯番号が必要で、それができない。履歴書にも書きますし、求人のエントリーフォームでも必須項目です。
だからこそ、誰かがスマホを出す必要があると思っていて、「誰でもスマホ」をやっています。誰でもスマホを持って、仕事をして、滞納してしまったお金もちゃんと返して、
また自分で通信会社を選べるようになりましょう。そういう再スタートを僕らは大事にしています。
話し手
高橋 翼
株式会社アーラリンク代表取締役社長
2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。

