寄付は引き算じゃない。循環をつくる経営。

会社が利益を出し、その一部を社会に返すこと。それは特別なことじゃなく、事業の延長線にあるもの。
2025年を通じて、寄付は「余裕があればするもの」ではなく、「事業の延長線にあるもの」だと捉えるようになった。更生保護への寄付や、食料支援としてのカップラーメン寄付。寄付を前提に利益を生み、社会に返し、また循環をつくる。それを一過性ではなく、やり続けると決めた。経営者としての価値観の変化と今を語る。

会社として寄付をしている

社員のみんなにもあまり話せていなかった、会社として寄付をしているという話をします。言う機会を逃してしまって、つい後回しになっていましたけど、2025年を通して僕自身の寄付に対する考え方が大きく変わったので、改めてちゃんと話しておきたいなと思いました。会社が利益を出して、その一部を社会に返す。この在り方は、すごく好きだなと思っています。

 

寄付の考え方が変わったきっかけ

きっかけは、『地上最強の商人』という本でした。そこに「得た富の半分は絶対に貧しい人に寄付しなさい」と書いてあって、その潔さにグッときたんです。元々寄付はしていましたけど、「半分」という発想はなかった。これを読んだ瞬間、気持ちが一段階切り替わった感覚がありました。

半分手放すことで集まるもの

本の中では、寄付をすることで名声や人が集まると書かれています。フィクションですし、エビデンスがある話ではありません。でも、僕は「あ、そうかもな」と素直に思ったんですよね。寄付って引き算のイメージが強いけど、手放すことで何かが循環するという考え方が、すごくいいなと思いました。

「紺綬褒章」という制度

前から気になっていたのが、公益のために多額の寄付をした個人や法人が国から表彰される「紺綬褒章」という制度です。法人だと1000万円以上の寄付が条件になります。新しい挑戦をしたいと思っていたタイミングと、本から受けた影響が重なって、「今がその時期なんじゃないか」と思いました。

1000万円以上の寄付を決めた理由

この話をする時点で、僕は法人として1000万円以上の寄付をすることを決めています。国に対する寄付というと漠然としますが、僕らの仕事と関わりの深い分野でやりたいと思いました。ただ利益を出すだけじゃなく、ちゃんと社会に返していく。その意思を形にしたかったんです。

更生保護という分野を選んだ背景

寄付先として考えているのが更生保護の分野です。受刑者の方の社会復帰を支える施設ですね。スマホを持たないと社会復帰が難しい人が多い中で、僕らの事業とも重なる部分があります。お客さんを紹介してもらうだけじゃなく、寄付という形でもお返ししたいと思いました。

寄付は癖づけして続けるもの

寄付って、毎回考えると迷うものだと思います。だから僕は、もう「やる」と決めて癖づけするのが大事だと思っています。実際、NPOへの寄付はもう3年ほど続けています。額は大きくなくても、続けることで当たり前になる。その感覚を会社としても作りたいんです。

寄付を前提に事業を回すという発想

寄付は余ったお金でするものじゃなくて、最初から前提にして事業を回す。カツカツでやるんじゃなくて、寄付をする前提でちゃんと利益を出す。その上で社員にも還元する。この順番を崩さないことが、すごく大事だと思っています。

カップラーメン寄付という具体策

もう一つやっているのが、カップラーメンの寄付です。最初は30個、そのあと100個作りました。今は1万個作りたいなと思っています。
最近、フードバンクや施設への食料寄付はかなり集まりにくくなっていると聞きました。だから、もしこれを聞いている人で寄付できる人がいたら、ぜひやってほしい。僕らは、お客さんを紹介してもらったお礼として、実際に役に立つものを渡すことも考えています。

寄付はマーケティングではない

カップラーメンは、マーケティング目的ではなく完全に寄付前提です。「誰でもスマホ」と書いてあるだけで、それ以上の狙いはありません。定期的にカップラーメンが届く会社、ちょっと不思議だけど、それでいいと思っています。

資本主義に人を戻す循環

寄付をして、スマホを持てるようになって、仕事ができるようになる。そうやって資本主義の中に戻ってくる人が増える。僕らの収益がまた寄付に回って、循環が生まれる。資本主義は本来、貧困をなくすための仕組みです。その本来の形に近づけたらいいなと思っています。

やり続けるという宣言

2026年は、寄付をやり続けると決めました。本当に戻ってくるのかどうかを、起業家の1人として実践してみたい。2年、3年続けた時にどうだったのかを、またこの番組でご報告できたらいいなと思っています。戻ってきても、こなくても、それも含めて挑戦です。

話し手

高橋 翼

株式会社アーラリンク代表取締役社長

2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。