#47「最適」を捨てて、「最高」を狙え。認知クレイジーの広告戦略
「最適な戦い方」から「最高の戦い方」へ。データ至上主義を超え、リスクを背負ってでも“大きく勝つ”ために挑む広告戦略の転換。アーラリンク高橋が語る、認知クレイジーの真意。
- 目次
- 広告も“戦”と同じ。最適から最高へ。
- 「効率を度外視して勝つ」という考え方
- 「最適」から「最高」へ。広告費を恐れない理由
- “溶かす覚悟”があるか。クレイジーな戦い方
- 認知クレイジーという生き方
- 街で見られる“ただの服”が広告になる
- “問いを残す”広告が最強
広告も“戦”と同じ。最適から最高へ。
今日のテーマは「広告戦略」です。基本的に戦略の話はしないんですけど、今日はあえて話してみようと思います。アーラリンクではPRとマーケティングにオールインしていて、その中で「最適」と「最高」の違いを強く意識してるんです。これまで僕らは“最適”な戦い方をしてきました。広告を細かく分析し、効率的に回す。それは間違ってない。
でもあるとき効率だけを追ってると、大きな勝負ができなくなると気づいたんです。たとえばテレビCMとか看板広告。今までの僕なら「効果が測れないものには投資しない」と決めてました。でも印象に残る広告って、実はオフラインのものが多いんですよね。黄色いインプラントの看板とか、あの「バニラ♪バニラ♪」のトラックとか。効率よりも“記憶に残る力”がある。
「効率を度外視して勝つ」という考え方
とある経営者の話を聞いて、すごく衝撃を受けたんです。タクシーアプリ「GO」の社長が、アプリを広めるときにあえてリスティング広告ではなく、オフラインの広告から始めたそうなんです。最初から効率を追うと“最適脳”になってしまって大きな勝負ができない。だから、最初にマス広告としてタクシーの車体、車内モニター、テレビCMなど、最初に「目につくところ」で勝負する。
これを聞いたとき、「あ、これが“最高の戦い方”だな」と思いました。 “最適”は小さく勝つ戦略。“最高”はリスクがあるけど大きく勝てる。僕は今、会社としてその「頭の切り替え」をしてる最中です。
「最適」から「最高」へ。広告費を恐れない理由
うちは、まずリスティング広告で「ほぼ一番上に出る」状態にし、最適を最高化にしました。1クリック単価が「なんでこんなに高いの!?」っていうレベルまで上がりました。でも、それでもいいと思ってます。最高を目指すなら、最高の戦い方をするしかないからです。
昔は夜勤のコールセンターで稼いだお金で初めて広告運用をしたんです。チョコボールの値段くらいでした。それが今は何倍にもなっています。僕が頑張ったおかげで市場が広がって、ライバルも増えて、単価も上がった。つまり競争が生まれているという事でいいんです。
“溶かす覚悟”があるか。クレイジーな戦い方
僕は他社がどれくらい広告にお金を使っているかを全部調べています。帝国データバンクから決算書を取り寄せて、広告費の比率を見たり、売上との推移を見たり。「利益を残そうとしてるのか、それとも溶かそうとしてるのか」僕が見るのはそこです。
正直、悲しかったです。業界の中に“溶かそうとしてる”プレイヤーがいなかった。みんな「最適」ばかり。だから、クレイジーなのは僕だけだったんです。でもそれでいい。僕は一人でもクレイジーでいたい。トッププレイヤーになるには、同調してちゃダメですから。
認知クレイジーという生き方
広告の戦略って、最終的には“認知”だと思うんです。どれだけ多くの人に知ってもらうか。だから僕、自分の服も広告だと思っていて、今着てる「誰でもスマホ」Tシャツ、これ毎日着てるんです。昨日届いたばかりなんですけど、妻に「いつまで着るの?」って言われても、「100万ユーザー取るまでは毎日着る」って宣言しました。
0円広告じゃないですか? コンビニ行くときも、スーパー行くときも、毎日それを着てたら、それだけで“誰でもスマホ”の文字を目にしてくれますからね。 妻に「ロゴがでかすぎるからもっと小さくして左胸にワンポイントでいいんじゃない?」って言われたんですけど、「違う、これはおしゃれのためじゃない。認知のためなんだ」って言い返しました。
街で見られる“ただの服”が広告になる
僕、今は目的が違うから「服をダサいかどうか」で選んでないんです。それに、自分の身に着けるものが広告になるなら、それが一番コスパがいいんです。スーパーですれ違った親子が「誰でもスマホって何?」って話すだけで価値が生まれる。だからコンビニでも駅でも、絶対にこのTシャツを着て歩くようにしてます。
“問いを残す”広告が最強
結局、かっこよさよりも「問いを残す」広告が強いと思うんですよね。「あれ何だろう?」って思われる。検索してもらう。その入口を作ることこそ、最高の広告。QRコードなんていらない。わざわざスマホをかざす人なんてほとんどいません。自分で「誰でもスマホってなんだ?」って検索する。それで十分。
つまり、“最高”とは「完璧な効率」じゃなくて「圧倒的な認知」。僕はそれを“認知クレイジー”と呼んでいます。これからは「最適」じゃなく「最大」を狙っていきたいです。
話し手
高橋 翼
株式会社アーラリンク代表取締役社長
2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。

