#43 「オーナー社長のお作法」
会社には、オーナー社長の会社と、そうでない会社がある。 その違いを知るだけで、働く上での幸福度は大きく変わる。 意思決定の速さ、責任の重さ、文化のつくられ方。アーラリンク高橋翼が、オーナー経営のリアルを語る。
- 目次
- オーナー社長という存在について考える
- オーナー社長の“覚悟”とスピード感
- クレイジーな意思決定が生む力
- オーナー社長を理解することの大切さ
- 採用の現場に出る責任
- コーポレートガバナンスが成長を止めることもある
- リミッターが外れた瞬間
- アーラリンクの決断スピード
- 文化を支える“翻訳者”の存在
- オーナー社長の発信は“お作法”
- オーナー社長としての誠実さ
オーナー社長という存在について考える
考えていたんですけど、僕はオーナー社長じゃないですか。だから今日は「オーナー社長カンパニー」について話したいと思います。
オーナー社長がいる会社と、そうじゃない会社って、働く環境やカルチャーの違いがすごくあると思うんですよね。僕自身はオーナーカンパニーって経済合理的にもすごく良いと思っていて。
実際、データで見てもオーナー社長が率いる会社の方が業績が伸びているんです。
オーナー社長の“覚悟”とスピード感
僕なりの解釈だと、やっぱり組織の成功要因ってリーダーに詰まってると思うんです。
オーナー社長って最終的にすべての責任を負う覚悟でやってる。だから意思決定のスピードも桁違いです。取締役会を通して…みたいな構造の会社と違って、クレイジーな決断も凄いスピード感でできる。
ロジックと直感、右脳と左脳のバランスで感じたことを、アーティストのように表現していく。それがオーナー社長の魅力じゃないですかね。
クレイジーな意思決定が生む力
クレイジーな意思決定って、良くも悪くもそのスピードが強みだと思います。
でも、間違ったらすぐ撤回すればいい。それを高速で繰り返せるのがオーナーカンパニーの面白いところだと思うんです。たぶん「オーナーカンパニー×ベンチャー」だと、それがさらに顕著に出る。
だから働く人も、そういうスピード感の中で生きてるって理解しておくのが大事だと思うんです。僕はそれを「カルチャー」と呼んでいて、そこにどれだけ共感できるかが、会社との相性を決めると思ってます。
オーナー社長を理解することの大切さ
働く前に「この会社はオーナー社長の会社なのか」を知ることは、めちゃくちゃ重要だと思います。それだけで会社の意思決定スピードとか、雰囲気が全然違います。
面接の時に聞いてみるのもアリですよ。オーナー社長の会社なら、社長を好きになれるかどうかが、働いて幸せになれるかのカギなんじゃないかなって思うんです。もう“センターピン”と言っていいくらい大事な要素ですよね。
採用の現場に出る責任
僕が最近特に思うのは、オーナー社長は採用の現場に顔を出す責任があると思うんです。影響力が強いのに、採用の場に出てこないのは不誠実だと思うんですよ。
入社の意思決定をしてから出てきたら入社の意思も変わりますよね。あとは、こうやってラジオで自分の考えをいっぱい発信してオーナー社長カラーを見せることは、求職者へ企業として誠実かもしれないですね。
コーポレートガバナンスが成長を止めることもある
ワークライフバランスって企業は「コーポレートガバナンス」と関わってくるのですが、それが必ずしも企業成長に働いているとは思っていないんです。
特に働き方の領域だと、守ることが目的化してしまう。上場企業の中には、ガバナンス対応に時間とエネルギーを使いすぎて、会議の大半を成長の為ではない時間になってしまうケースもあるそうです。その話から自分はオーナー企業としての強みをどれだけ出せているのか考えさせられました。
リミッターが外れた瞬間
ある上場企業の経営者に言われたんです。「オーナーはオーナーらしく、ガンガンやった方がいいよ」って。その言葉を聞いた瞬間、リミッターが外れた感覚がありました。
オーナー企業としての強みって、スピード感と判断力にあると思うんです。だったらそれを活かさなきゃもったいない。クレイジーでもスピーディーでも、そのスピードだから出せる成果がある。この価値観は働く人にもちゃんと伝えたい。
うちはスピードを持って変化していく会社で、それを“怖い”と思う人も尊重したいしミスマッチに繋がってしまう。それをウエルカムと思っている人に働いて欲しいですしね。
会社選びのときに「ここはオーナー社長の会社なのか」を見極めるリテラシーを持つことが、すごく大事だと思うんです。
アーラリンクの決断スピード
「最近も実際にありました。1月から施行予定の人事制度を、半年前の7月に発表したんですけど、10月になって「やっぱり違うな」と思って変えました。発表してから3ヶ月で修正したんですよね。
普通なら「また変えるの?」って思うかもしれないけど、僕はそれでいいと思っています。今のアーラリンクに合う形を追求するためのスピード修正。それが会社の成長に直結すると思ってるからです。
文化を支える“翻訳者”の存在
オーナー社長の意思決定を現場に伝えるとき、幹部の姿勢次第で会社の空気が変わるんですよ。「社長がまた言ってるよ」と冷めた感じになるのか、「社長の意図はこうだから一緒にやろう」って前向きになるのか。後者であってほしいし、そういう文化を作りたいですね。
アーラリンクって、僕の意思決定で動く会社なんですが意思決定についてはまた別の機会に話します。
オーナー社長の発信は“お作法”
僕は、オーナー社長は発信すべきだと思うんです。SNSでもラジオでもYouTubeでも、自分がどういう人間かをちゃんと出す。それは「義務」に近いと思います。
後から「そんな人だと思わなかった」って言われるのは不誠実ですからね。「私が黒と言ったら黒」っていう価値観を最初に明示する。それがお作法なんです。自分のカラーを見せることが、誠実さにつながると思います。
オーナー社長としての誠実さ
だから僕は、オーナー社長ページを作った方がいいと思ってます。SNSをやるか、ポッドキャストをやるか、公式サイトに自分の思想を載せるか。
どんな形でもいいけど、「この人がどういうリーダーか」をちゃんと見せる。それで合う人もいれば、合わない人もいる。それでいいんです。最初に見せておく。それが誠実な経営だと思ってます。

話し手
高橋 翼
株式会社アーラリンク代表取締役社長
2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。