アンバサダー編|多様なリーダー像とは

「 いろんなリーダーが出てきて欲しい」

アーラリンクでは「全社心得」の浸透を目的に、社員同士が価値観を共有し合う活動や、心得アンバサダーによる推進が行われています。近年はリーダー選出に社内選挙を取り入れましたが、その過程で見えてきたのは「声が大きい人が選ばれやすい」などの課題。多様なリーダー像の必要性について、人が人を評価する難しさをエピソードトークを交えながら、柔軟かつ本質的なリーダー育成の姿勢を語ります。

「全社心得」は行動方針を伝える動画

今日はですね、会社のことを聞いてくださってる皆さんに少しでも理解を深めてもらいたくて、社内活動の話をちょっとしようかなと思ってます。

社内活動の中で、今ちょうどリクライブの二宮さんにも動画撮影していただいてる「全社心得」というのがありまして。
いわば行動方針みたいなもので、会社として大切にしている考え方を動画で撮影していただいてるんです。これは基本的に社外向けです。

つまり、これから入社してくださる方に向けて「アーラリンクってこういう価値観を大事にしてるんだな」っていうのを理解してもらってから、入社していただけたら嬉しいなと思って、そういう目的で作ってます。

「中の人」にも伝えたい価値観

ただ、これって社外向けだけじゃなくて、社内にもちゃんと浸透させていきたいということで、今いろいろ中の浸透活動も行っているんです。

何をやってるかというと、全社心得というのが24個、行動指針としてあるのですが、その中で「心得アンバサダー」という役割を決めていて。
そのアンバサダーたちが、新人さんや一般社員の皆さんに向けて「自分はこういう観点を意識して日々仕事してますよ」という話をしてくれてるんですよね。

「心得アンバサダー」の実践例

例えば「時間を守る」という心得があるのですが、これは言葉で言うのは簡単だけど、じゃあどんな気持ちでそれを実践してるのか?というのを本人の言葉で語ってもらう。

他にも「速さを追求しましょう」というのもあるのですが、それにしても「速さを追求するって、日々どう意識してるのか?」ということをアンバサダーの人に話してもらって「この人はこうやって速さを意識してるんだな」と聞いた人が理解して「じゃあ自分もやってみよう」と思ってくれる。そういう活動をしてます。

初の「選挙」でアンバサダーを選出

じゃあ、そのアンバサダーをどうやって決めるのかというと実は会社で初めて「選挙」というのをやりました。

その日は3人のアンバサダー候補が登壇してくれて、それぞれ1チーム10人ぐらいに分かれて話を聞くっていう形式でした。本当はもっと少人数、4〜5人くらいでディスカッションできたら理想なんですけどね。
それで「誰がアンバサダーにふさわしい人か?」っていうのを選挙で決めたんですけど、これがまた面白くて。まずは「そもそもアンバサダーを立てる必要があるのか?」というところからみんなに聞いたんです。

「声の大きい人」がリーダーじゃない

「アンバサダーはいる」と答えてくれた人が約75%。「いらない」と答えた人が25%くらいでした。
それを見て僕が思ったのは、やっぱりみんな、声が大きい人とか目立つ人を選びがちなんだなということ。もちろん1対10とかで喋ってる構図だったから、そういう人のほうが印象に残るのはわかるけど、それって本質とはちょっとズレてるんじゃないか?っていう話を社員向けの朝礼でも話させてもらったんです。

うちの会社って、調和がとれている組織だと思っていて、みんな配慮もできるし、空気も読めるんですけど、いざ「トップダウンで引っ張って」となると苦手な人も多い。
でも、それって悪いことじゃなくて「サーバント型リーダーシップ」っていう考え方もあるよっていう話をしたんです。

サーバント型リーダーという考え方

僕が話したのは、リーダーって別に声が大きい人じゃなくていいということ。
例えばサーバント型リーダーって、自分がみんなのサポート役に回るっていう考え方なんですよ。

目的をちゃんと意識しながら人の話を聞く、自分が簡単な仕事をして、相手にはあえて難しい仕事を渡してチャレンジの機会を与える、自分のビジョンや気持ちをしっかり伝える。
そういうのがサーバント型リーダーには求められる。

僕はアーラリンクに、そういうタイプのリーダーもどんどん出てきてほしいと思ってるんです。

リーダーシップは多様でいい

アーラリンクって、サーバント型だけじゃなくて、トップダウン型、ビジョナリー型、コーチング型みたいに、いろんなリーダーシップがあっていいと思っているんです。
僕自身も「こんなに種類あるんだ!」と勉強になりましたしね。

それに求職者さんがもし入ってきたときに「この会社ってトップダウン型のリーダーしかいないんだ…」と感じてしまうと、自分のキャリアが描けないと思ってしまうじゃないですか。それってすごく寂しいこと。
だから僕は、いろんなリーダーがいる会社でありたいと思っているんです。

それに求職者さんがもし入ってきたときに「この会社ってトップダウン型のリーダーしかいないんだ…」と感じてしまうと、自分のキャリアが描けないと思ってしまうじゃないですか。それってすごく寂しいこと。
だから僕は、いろんなリーダーがいる会社でありたいと思っているんです。

選挙の結果は非公開に

ちなみにアンバサダー選挙の結果は、まだ出てないんですよ。昨日と今日の話なんで、まさに今リアルタイムで動いてる感じです。この選挙に関して、僕がちょっとこだわってるところがあって。僕は選挙の票数でそのままリーダーを決めるっていうのは、必ずしも正しいと思ってはいないんです。

それには理由がありまして。人が人を見るのは、すごく難しいということ。
あと、票集めになっちゃうのも嫌なんですよ。

要は、出世のために票を集めようとする「内部政治」みたいな動きになってしまうと、本来の目的である顧客創造活動に集中できなくなる。

だから選挙の結果は僕だけが知っていて、社員のみんなには公表しないと決めたんです。誰が何票取ったかも言わない。選ばれたかどうかだけは伝えますけどね。

「見る人の器」で評価は変わる

「一番票を集めた人が最もふさわしいリーダー」だと僕は思っていないんですよ。さっき言ったように、人が人を評価するのは難しいから。
それに関連して、僕がよく話すエピソードがあるんです。

これ、有名な逸話なんですけど、勝海舟が紹介状を書いて西郷隆盛と坂本龍馬が初めて会ったときの話です。

坂本龍馬と西郷隆盛が会って、ミーティングをしたそうです。その後、坂本龍馬が勝海舟に報告をしました。すると勝海舟がこう尋ねました。「西郷隆盛は、どうだった?それに対して坂本龍馬は、こう答えたそうです。

『西郷隆盛は、釣鐘のような人だ』と。小さく叩けば小さく鳴るし、大きく叩けば大きく鳴る。つまり、こっちがバカなことを言えばバカな返しが返ってくるし、賢いことを言えば賢い返しが返ってくると。
そして、坂本龍馬はこう続けたんです。『僕の器がまだ小さくて、大きな音を鳴らせなかったのが残念でした』と。

勝海舟のつもりで人を見る

この話、すごく好きなんですよ。西郷隆盛の器の大きさだけじゃなくて、それをちゃんと見て自己評価できてる坂本龍馬の視点、そしてそれを理解できる勝海舟の視点。全部がすごい。

僕が何を言いたいかというと、人を評価するには、それ相応の器や視点が必要なんだということ。

例えば、僕が今こうやって二宮さんと話してて、僕がもっと成長した器を持っていたら、きっと二宮さんは別の顔を見せてくれたかもしれない。
今の僕が引き出している二宮さんというのは、今の僕自身が作ってる二宮さんなんです。

だから僕自身も、もっと成長していかなきゃいけないなと思っています。

社員にも話していきたいこと

こういう話は社員の皆さんにもちゃんと伝えていきたいと思っています。

例えば、僕や幹部クラスの人たちと直接接する時間があまりなかったり、日々のオペレーション業務に追われてると「なんでこんなことしてるんだろう?」とか「何が大事なんだろう?」と疑問に思うこともあると思います。
でも、こういう背景を知ってもらえたら「ああ、そういう意図があったんだな」と理解してもらえるかもしれない。そういう対話の機会も大事だなと思います。

話し手

高橋 翼

株式会社アーラリンク代表取締役社長

2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。