【アーラリンク 会社の歴史編】競合に遅れとってしまった!挽回ための「誰でもスマホ」立ち上げの裏話。

「最初の頃は、私自身がお客様の受付をしながらシステムの調整・修正を行なっていましたね」

アーラリンク会社の歴史編3話目は、「誰でもスマホ」立ち上げのお話。
最初はスマホのレンタルサービスとして動いていたアーラリンク。しかし「お客様にはレンタルではなく自身でスマホを持ってもらいたい」と考えていた高橋さんは「でも、自分たちには技術的に難しい」と思い込んでしまい。
競合に先を越されてしまった苦い思い出が…。
この遅れを取り戻すために、急いで準備し立ち上げたのが「誰でもスマホ」その創設秘話と設立までのスピードをぜひお楽しみください。

スーパークレイジーなソーシャルベンチャー「誰でもスマホ」を立ち上げる!

どうも、高橋翼です!
今日は「誰でもスマホ」の立ち上げについて話したいと思います。これを聞いている方の中には、すでに知っている方もいるかもしれませんが、改めて振り返ってみようと思います。

誰でもスマホを始めた理由

誰でもスマホは、僕たちが提供している格安スマホのサービスです。2023年に立ち上げて、今も成長を続けています。このサービスを始めたのには、大きく2つの理由がありました。

1つ目は、従来の携帯レンタルサービスの課題を解決するためです。僕たちは以前、キャリアと契約したスマホをレンタルする事業をやっていました。ただ、レンタルの場合、お客さんが自立して「自分のスマホを持てるようになった」ときに、レンタル品を返却しないといけないんです。そうすると、電話番号が変わったり、データが消えたりして、リスタートがめちゃくちゃ大変になる。これが大きな課題でした。

2つ目は、価格の問題です。僕たちがキャリアから仕入れてレンタルする形だと、どうしても料金が高くなってしまう。だったら、自分たちがキャリアの立場になって、もっと安く提供できるようにした方がいいんじゃないか? そう考えて、誰でもスマホを立ち上げることにしました。

競合に出遅れた!?

誰でもスマホを始めるにあたって、実はちょっとしたミスもありました。当時の僕は市場調査をあまりしていなくて、競合がすでに「かけ放題プラン」を始めていたことに気づかなかったんです。僕は「かけ放題プランが作れるようになったら始めよう」と思っていたのに
気づいたら他社がもう始めていて、「やばい、もうできるようになってるじゃん!」って慌てて準備を進めることになりました。
結果的に、僕たちは競合より3〜6ヶ月ほど遅れての参入になってしまったんです。でも、そこからはめちゃくちゃスピード感を持って進めました。

3ヶ月でサービスを立ち上げろ!

「やるぞ!」と決めてから、実際にサービスをリリースするまでの期間は、たったの3ヶ月。普通、こういう通信系のサービスって、もっと時間をかけて準備するものですが、僕たちは「とにかく早く出す!」と決めました。
まず、通信サービスの仕入れ交渉をして、それをどういう料金体系にするか決めるところからスタートしました。ここがめちゃくちゃ重要で、競合と比べてどれくらいの価格にするのか、どうやって差別化するのかを詰めていきました。価格だけでなく、サービス内容でも違いを出す必要があったので、そこはかなり考えましたね。

次に、利用規約や重要事項説明書の作成です。通信サービスは法的な要件も多いので、弁護士とやり取りしながら進めました。でも、スピードが求められるので「すみません、めっちゃ急いでるんでお願いします!」って巻き込んで、とにかく進めてもらいました(笑)。

ホームページを45日で作れ!

さらに、ホームページの制作も大急ぎで進めました。2022年11月末くらいに「こういうサービスを作るから、ホームページを作ってほしい」と依頼して、2023年1月15日にはリリースしたかったんです。でも、普通に考えたら、50ページくらいのホームページを新規で作るのに3〜4ヶ月はかかるんですよ。それを「45日でお願いします!」と依頼したので、年末年始もフル稼働で進めてもらいました。
もちろん、僕自身も年末年始はずっと仕事。ホームページの構成を考えたり、内容を詰めたりして、とにかく間に合わせるために全力でやりました。

1月15日にリリース! でもデータベースは半分しか完成していなかった

そして迎えた2023年1月15日、なんとかサービスをリリースすることができました。ただ、実はこの時点でデータベースが半分しか完成していなかったんです(笑)。
でも「受付さえできれば大丈夫」と判断して、とりあえず始めました。プラン変更や解約などの機能はまだ未完成でしたが、新規受付と支払い、スマホの発送ができればOK。細かい機能は、リリース後に追加していく作戦でした。

カスタマーサポートはカオス状態

リリースしたのはいいものの、カスタマーサポートが本当に大変でした。サービス内容がガラッと変わったので、サポートチームもゼロから新しい知識を覚えなきゃいけない。しかも、マニュアルを作る時間なんてなかったので、重要事項説明書をそのまま見てもらうような状態でした。

さらに、僕たちの既存のレンタルサービスが2つ走っている中で、新しく「誰でもスマホ」が追加されたので、1人あたりの対応するサービス数が2倍になったんです。そりゃ大変になりますよね…。
この時、僕は「これは現場に行って、僕が指揮をとらなきゃダメだ」と思いました。それまで社長室にこもって経営をしていたんですが、1月15日から6月くらいまでは、ずっと現場に入り込んでいました。

社員たちに「これはこうやるぞ!」と指示を出しながら、自分も実際に対応して、テストもお客さんとのやり取りをしながらやるという状態。正直、カオスでしたね(笑)。でも、そのカオスを乗り越えたことで、今の誰でもスマホがあるんです。

現場で起きていたカオス

リリース当初、カスタマーサポートは本当に混乱していました。まず、そもそも新しいサービスを運用するマニュアルがなかったんです。普通なら事前に研修をして、細かいフローや対応マニュアルを整えておくじゃないですか? でも、そんな時間はなかったので、研修といっても朝1時間だけ、しかも1週間くらいしかやれなかったんです。

そして、もっとヤバかったのが、テストをしていなかったこと。誰も実際に動かしてチェックしていない状態で、いきなり本番を迎えました。だから、最初のお客さんの受付対応をしながら、「あ、ちゃんと通るな」と確認して、もしエラーが出たらその場で修正。そういう状態だったので、現場はもう戦場でしたね。

大阪のエンジニア、まさかの半年間東京に滞在

当時、大阪にいたエンジニアの社員に「1月15日にリリースするから、東京に来てほしい」とお願いしました。「多分、1週間くらいで大丈夫だから」と伝えたんですけど、結局、問題が次々に発生して、気がつけば6月まで東京に滞在することに…。
最初は1週間のつもりだったのに、半年間もホテル暮らしになってしまって、申し訳なかったですね。でも、彼が東京に来てくれたおかげで、データベースの調整もスムーズに進んだし、トラブル対応もかなり早くできました。

1月15日のリリース日を決めた理由

「1月15日にリリースしよう!」と決めた理由は、特になかったんです。ただ「とにかく早く出したい!」という思いが強くて、最短で間に合いそうな日を逆算した結果、その日になっただけでした。
ホームページの制作会社にも「最短でどれくらいで作れますか?」と聞いて、「超気合入れたら1月15日くらいですかね?」と言われたので、「じゃあお願いします!」と即決しました(笑)。

社外の作業スケジュールは調整しなきゃいけないけど、社内のことはもう気合で何とかすればいいと思ってたんですよね。まあ、かなり無茶な判断だったんですけど、「スーパークレイジーベンチャー」なので、それくらいの勢いがないとダメだろうと。

カスタマーサポートの負担が倍に!?

ここで問題になったのが、カスタマーサポートの体制でした。もともと30人くらいいたんですが、彼らは既存のレンタルサービスの対応で手一杯だったんです。そこに「誰でもスマホ」という新サービスが加わることで、単純に業務量が2倍に増えました。

1人1サービス対応だったのが、1人2サービス対応になり、しかも新しいサービスの知識がまだ定着していない中で、いきなり現場対応をしなきゃいけない。これは、もう本当に大変でしたね。
さらに「新規受付の電話は絶対に落とすな!」という指示を出していたので、問い合わせが殺到する中でも、何としてでも対応しなければならない状況。現場の混乱は想像以上で、「マジでやばい…」と何度も思いました。

6月まで現場に入り込み、指揮をとる

僕はもともと、経営者として社長室にこもって全体を見ていたんですが、この状況はさすがに放っておけないと思いました。そこで、1月15日から6月くらいまで、ずっと現場に入って指揮をとることにしました。
「これはこうやるぞ!」とみんなに伝えながら、一緒に対応して、問題があればすぐに改善。社員たちは最初ポカンとしてましたけど、次第に僕のやり方に慣れていって、一緒に乗り越えてくれました。

でも、当然ながらこの急激な変化についていけない人も多くて、辞める人も続出しました。急に仕事量が増えるわ、新しいことを覚えなきゃいけないわ、社長が現場に乗り込んでくるわで、ついていけない人が出るのは当然ですよね。
それでも、残ってくれた人たちには本当に感謝しかないです。彼らがいたからこそ、誰でもスマホがここまで成長できました。

レンタルサービスを一気に終了

誰でもスマホをリリースしたタイミングで、レンタルサービスの新規受付を終了しました。
普通は、こういう時って少しずつ移行期間を作るじゃないですか? でも僕たちは、もう「バツッと切り替えよう!」と決断しました。金曜日まではレンタルサービスを受付していたのに、翌週の月曜日からは完全に誰でもスマホにシフト。
当然、サポート側は「え、急に!?」という感じでしたけど、その方が結果的にスムーズに移行できたと思います。もちろん大変でしたけどね(笑)。

会社の価値観が大きく変わった

誰でもスマホの立ち上げを通じて、会社全体の価値観や基準が大きく変わりました。それまでのやり方では通用しないことがたくさんあって、「もっとスピード感を持ってやらなきゃダメだ」「変化に対応できる力が必要だ」という意識が社内に根付いたと思います。

当時の僕は、「これができたなら、もう何でもできるんじゃないか?」と感じました。それくらい、圧倒的なスピード感と変化の中で、みんなで乗り越えてきたという実感がありました。
売上の具体的な数字は言えませんが、誰でもスマホの立ち上げ後、獲得件数や電話の問い合わせ数は2倍どころか、3倍、4倍に増えました。本当に「ガラッと変わった」という感じです。
当然、その分負担も大きかったんですが、結果的に大成功だったと言えます。

誰でもスマホがスタートした後、行政との連携も進みました。もともとレンタルサービスの頃から行政と関わりがあったんですが、「誰でもスマホ」に切り替えたことで、より多くの自治体とつながることができました。
もともと行政からの紹介で利用していたお客さんが多かったので、「レンタルではなく、こっちの方がいいですよ」と提案することで、スムーズに移行が進んだんです。

まとめ:ベンチャーの本質はスピードと変化への対応

こうやって振り返ると、やっぱり「スピード感」と「変化に対応する力」こそが、ベンチャーにとって一番大事だなと感じます。
僕たちは誰でもスマホの立ち上げを通じて、一気に会社の基準を引き上げることができました。この経験があったからこそ、今後もどんどん新しい挑戦ができると思っています。
これからもスーパークレイジーに突っ走っていきますので、ぜひ応援よろしくお願いします!

話し手

高橋 翼

株式会社アーラリンク代表取締役社長

2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。