【前編】リーダーに必要なのは“感情エネルギー”の選別 ─「リーダーの仮面」を被る覚悟

アーラリンクではこれまでマネージャー層を中心に行ってきたブックリーディングを、今度はリーダー層へと広げようとしています。リーダーの解釈が乱立する時代だからこそ、会社として「うちのリーダーはこうあるべき」という定義を置く必要がある。そのために選んだ教材が、安藤広大さんの『リーダーの仮面』。個人の人格ではなく、“組織人格”としてのリーダー像をセットしなおすためです。感情に振り回されるのではなく、仕事としての役割を果たす。リーダーたちに必要な“仮面”とは何なのか。その入口を語った前編です。

ブックリーディングの手応え

会社の中でもブックリーディングをずっとやってきて、その手応えをようやく感じてきました。だから今、もう少し影響範囲を広げたいなと思ってます。
これまではマネージャー層が中心だったけど、今度はリーダー層にも広げていきたい。やっぱりリーダー教育って、経営者自身がやるべきだと思うんですよ。
 

リーダーの解釈が乱立する時代に、会社として定義を置く

リーダーのスタンスって世の中にいっぱいあるじゃないですか?厳しく教育するのか、傾聴するのか、支援型でいくのか。
どれも正しいけど、会社として「うちはこうだ」と定義する必要があるんですよね。

事業モデルによって求めるリーダー像って本当は違っていて、事業方針や提供価値に応じて必要なリーダーシップは当然変わります。
だからこそ、僕が経営者としてちゃんと「この会社のリーダーはこうあってほしい」と言語化する責任があると思ってます。

アーラリンクの階層構造と、僕が直接リーダーに向き合う理由

本来なら、マネージャーがリーダーを育てて、リーダーがスタッフを育てる。これが美しい階層構造なんですけど、アーラリンクはまだ整地している段階です。
だから僕がマネージャー層を飛ばして、リーダー層まで直接向き合う。「三角形の真ん中」に直接届けるタイミングが今なんですよね。

「リーダーの仮面」を選んだ背景

今回リーダーに読んでもらう本に、安藤広大さんの『リーダーの仮面』を選びました。早稲田の先輩でもある安藤さんが書いたこの本は、まさに“組織人格”を扱う本なんですよ。
アーラリンクは「組織人格」という言葉をよく使うんですけど、“個人格で仕事をしない” “リーダーとしての人格を装着する”という意味では、この本が最適だと思ったんです。

組織人格としてのリーダーとは何か

アーラリンクのリーダーを見ていると、「リーダーとしての仮面を被れていない」という課題があるように感じていました。
怒れない、甘くなる、部下に合わせすぎる、言うべきことを言えない。これは人格の話じゃないんですよね。
役割としての人格=組織人格がセットされていないだけなんです。

リーダーを阻害する感情と、その脇に置き方

助章では、感情の話が出てきます。リーダーって、感情で成果を阻害している場面が多いんですよね。
「厳しく言ったら嫌われるんじゃないか」「辞めちゃうんじゃないか」でも、この“感情”を一度脇に置けたら、出せる成果はまったく変わる。
そのことを、リーダー自身に書き出してもらうワークを入れました。

良い人問題、競争、離職への恐れ──5つの問い

本の中には、こんな5つの問いがあるんですよ。
いい人になろうとしてませんか?
待つことを我慢できてますか?
部下と競争してませんか?
マネジメントを優先できてますか?
やめないかどうかを気にしすぎてませんか?
これ全部めちゃくちゃ大事。特に「辞めないかどうかを気にしすぎる」って、多くのリーダーが落ちる罠だと思うんです。
世の中に100万社あるんだから、フィットしない会社に無理に残る必要はないし、リーダーが“辞めさせない”ことばかり考えるのは健全じゃない。適材適所に導くこともリーダーの役割だと思うんですよね。

ルールを定義するという責任

「1章に出てくるのが「ルール」です。ルールは、姿勢と行動に分かれています。
リーダーはまず「自分が部下に求めるルールを定義する」必要があります。定義してないと、守られてない理由すら分からない。
「時間を守る」じゃなくて「会議3分前に集合」くらいまで言語化する。これが大事なんですよ。

部下に向けるべき感情エネルギー

リーダーが持つべき感情エネルギーと、持ってはいけない感情エネルギーがあります。
持つべきものは、「育てたい」「成長してほしい」「任せたい」
持ってはいけないものは、「好き嫌い」「えこひいき」「マウント取りたい」
こういう感情は、組織を歪ませるだけですからね。

ルールを守らせるのは誰の仕事か

よくあるのが「それ高橋さんの役割でしょ?」と思われていること。違うんですよね。
ルールを守らせるのは、リーダーの仕事です。
怒るのが社長の仕事ではない。それを一般化するためにも、「170万部売れてる本にも書いてありますよ」と伝えられるのが、このブックリーディングの価値なんですよ。