#48 市場がないなら、つくればいい-新市場”リスタートモバイル”
“リスタートモバイル市場”と名付けた新しい概念を掲げ、携帯を持てない人たちに“生活の再スタート”を届けようとしている。一度社会から離れてしまった人が、もう一度つながりを取り戻し、自立へと歩み出せるように。存在しなかった仕組みをどう形にしていくのか、その思想と行動の裏側を語ります。
- 目次
- 携帯業界の広告戦に感じること
- 認知の力が勝敗を分ける
- 若い世代の認知を取る戦略
- リスタートモバイル市場を名乗る理由
- 市場に名前をつけるという発想
- 第一任者としてやるべきこと
- データ発信が信頼をつくる
- 広告と広報の両輪で進む
- 行政やNPOとの対話を広げたい
- 再犯防止の現場に求められる携帯
- 寄付でつくる新しいエコシステム
- 最高の戦い方に切り替える
携帯業界の広告戦に感じること
携帯電話業界って広告競争じゃないですか?特にキャリアはCM合戦みたいになっていて、AUなら桃太郎、ソフトバンクなら白い犬、UQなら深キョンとかガチャピンとか、もう頭に残るじゃないですか。
やっぱり「知ってる」って安心感につながってると思うんですよね。キャリアはそこにめちゃくちゃ投資している。だからこそ「知ってもらう努力」って絶対避けられないと思ってます。
認知の力が勝敗を分ける
格安スマホって安いし合理的なんですけど、結局みんなキャリアを選ぶじゃないですか。理由はシンプルで「知ってるから」それが安心につながっている。格安スマホは広告費が残らない構造だからスケールしなかったんですよ。
結局、知ってることが大事なんです。携帯電話業界で勝つなら、まずは「知ってもらう」ことにどれだけ力を注げるか。そこがすべての勝ち筋だと思ってます。
若い世代の認知を取る戦略
学生割とか家族割の広告ってめちゃくちゃ打ってるじゃないですか。あれは「最初に契約してもらう」ための戦略なんです。学生のうちにキャリアを選ばせて、そのまま中年、おじいちゃんおばあちゃんになっても使い続けてもらう。要は先行投資ですよね。僕もずっとキャリア変えてないし、あれってほんと王道だなと思うんです。やっぱり若い時にどう認知されるかが大事なんです。
リスタートモバイル市場を名乗る理由
今僕らがやってるのは、携帯が持てなくて困ってる人たちに、もう一度持てるようにする「リスタートモバイル」という分野なんです。これを「リスタートモバイル市場」って呼んでいて商標も取ってます。市場が存在しないなら、自分で作ればいい。これはある社長から教わった考え方で「市場がないなら名前をつけろ」と。だから今、自分で市場を定義して第1任者になるつもりです。
市場に名前をつけるという発想
以前、タクシー広告の業界で「モビリティ広告」って言葉を作った方がいるんですよ。それまでは「アドトラック広告」とかしかなかったけど、「モビリティ広告市場」を名乗った瞬間に新しい市場ができた。だから僕もそれに倣って「リスタートモバイル市場」を作ることにしたんです。
市場を作るって、つまりは文化を作ること。そこに自分が第1任者として立つことが重要なんです。
第一任者としてやるべきこと
第一任者としてやるべきことっていくつかあると思っていて、そのひとつが「プレスリリースをむちゃくちゃ打つ」ことなんです。リスタートモバイル市場の現状を自分たちで調査して、「リスタートモバイル市場調査」として発表していく。
たとえばお客様がどんなことで困っているのか、どういう人たちが再出発しているのか、そういう実態をデータとして出していくんです。
データ発信が信頼をつくる
不動産業界では「住みたい街ランキング」みたいに、データを出して話題になるじゃないですか。あれと同じように、僕らも「リスタートモバイル市場」のデータをどんどん出していく。そうやってメディアに取り上げられてニュースになる。これまでも新聞やテレビで紹介されたことがあるけど、もっと本格的にやっていくつもりです。広告だけじゃなく、広報の手を広げていきます。
広告と広報の両輪で進む
広告だけだと世界観や想いが伝わらないんですよ。だから広報で「なぜそれをやってるのか(Why)」を見せていきたい。広告は“知ってもらう”ため。広報は“調べた時に出てくる信頼の裏付け”。両輪が必要だと思ってます。今は行政やNPOと組んで、リスタートモバイルを社会的な文脈の中で発信していく構想を進めてます。ここが本当の意味でのPR活動だと思ってます。
行政やNPOとの対話を広げたい
リスタートモバイルを社会に広げていくには、行政とかNPOとの連携がすごく大事だと思ってます。
たとえば、居住支援法人って家を借りにくい人をサポートしてるんですけど、そこでも「携帯が必要」という課題がある。だからそういう現場の人たちと話すことで、僕らの事業がどう社会を支えられるかを見える化したい。行政の方でも、協力してくれる方がいたらぜひお話ししたいと思ってます。
再犯防止の現場に求められる携帯
日本では再犯率が50%を超えてるんです。口座とか家とか携帯とか、基本的なインフラがないと社会復帰が難しい。だからこそ更生保護の現場でも携帯が必要なんです。そういう人たちの社会復帰を支える第1任者として、僕らが対談し発信していく構想があります。携帯が「再スタートの第一歩」になる。それをデータや事例を通じて伝えていきたいと思ってます。
寄付でつくる新しいエコシステム
僕はNPOさんにけっこう寄付してるんですけど、寄付って一方通行じゃないですか?でも経済活動と組み合わせれば、循環が生まれると思うんです。NPOからお客様を紹介してもらって、そこで生まれた利益をまた寄付で返す。そうすれば社会の中でお金も想いも回っていく。これを僕は“寄付経済のエコシステム”って呼んでて、リスタートモバイルもその仕組みの一部になれたらと思ってます。
最高の戦い方に切り替える
これからは鬼のように広告を打って、鬼のようにPRしていきます。最適な戦い方から、最高の戦い方へ。最初はお金がないから“最適”しかできないけど、事業が成長したら“最高”に切り替えるタイミングが来るんです。僕はもう、そのスイッチを入れたつもりです。クレイジーだけど最高の戦い方をする。その覚悟で、リスタートモバイル市場を走っていきます。
話し手
高橋 翼
株式会社アーラリンク代表取締役社長
2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。

