#45 甘さが会社を腐らせる。緊張感をデザインする経営論

「怒られない社長」が一番危うい。結果責任を仕組みにし、ストレスを覚悟に変える。業績が良ければ家庭へ、未達なら寄付。甘さを許さない経営者・高橋翼が語る“緊張感のある組織”のつくり方。

決める、やる、それが成功方程式

人生の成功方程式って「決める、やる」だと思ってるんです。目標を20文字以内で壁に貼って、常に見えるようにする。決まってないなら「まず決めようぜ」ってすぐ言えるようにする。それが最優先なんですよ。

明確な目標があって、部下とコンセンサスが取れてるなら、あとはやるだけ。やったかどうか、やってたら評価する。このシンプルさが一番大事だと思ってます。 

社長こそ厳しさを制度化する

社長って、やってもやんなくても怒られないんですよ。だからこそ自分にストレスを与える仕組みを作らなきゃいけない。

僕の場合、メンターに成果報告して、達成できなかったら飯を奢られるルールにしてます。悔しいじゃないですか。

あと、会社の業績が良かったら僕のポケットマネーから嫁にお金を渡す。ダメなら外部に寄付。家に帰って「今月もらえないの?」って言われる環境を自分で作るんです。

“緩み”を恐れる社長の、家庭での結果責任

達成できなかったら家庭にお金を入れられない。これ、めちゃくちゃ怖いですよ。でも、それぐらいの緊張感を持って仕事してないと、社長も緩くなる。

ストレスを悪いものにしないで、覚悟を持続するための仕掛けにするんです。ノンストレスだとゆるくなるから。自分で自分を追い込む仕組みをつくる。これが僕の中ではすごく大事な考え方なんですよね。

幹部にも緊張感を伝染させる

自分だけじゃなくて、幹部にもこの緊張感を持たせたい。達成したら報酬が出るし、ダメなら出ない。遊んでる場合じゃないって思える状態をつくる。

短期的に「アメとムチ」をしっかり回すことで、組織にピリッとした空気が生まれるんです。緊張感を上から作らないとダメなんですよ。これが最近すごく腹落ちした感覚です。

“気まずさ”が組織を強くする

目標を壁に貼って一目でわかる状態にし、ダメなら「ダメ」と伝える。曖昧にすれば組織はすぐにゆるくなる。上司が悪い評価を伝えるのは一番気まずいけど、それを避けていたら強い組織は育たない。

半年ごとの査定で結果が出ていなければ給料を下げる。きちんと伝えるのが上司の覚悟です。悪い評価を伝えることは本当に苦しい。でも、それを乗り越えてこそ上司は強くなるし、嫌だからこそ「次は達成させよう」と必死になれる。

この“気まずさ”こそが、会社の成長の一部だと思ってるんです。

給与は固定じゃない、期待値だ

うちの新卒は基本給31万円なんですけど、それを「下限」じゃなく「期待値」として提示してるんです。

つまり31万円は“最低保証”じゃなく、期待を込めたスタートライン。以前は給料が下がらない制度に、どこか甘えが生まれてた。それをなくして、成果が出なければ下がる、出せば上がる。そういう健全な緊張感を制度に組み込みました。

守りすぎる社会に一石を投じる

今の日本は、オーバーガバナンスで守りすぎだと思ってます。ガイドラインやコンプラを意識しすぎると、会社が歪む。

やっぱり「よかったら評価」「ダメなら罰」が当たり前。そこに戻していかないと、本来の強さが失われるんです。自分自身にも厳しい環境を課して、その姿勢で全体を引っ張る。経営者が率先して厳しさを体現することが一番のメッセージだと思ってます。

組織の緊張感は仕組みでつくる

100人規模だからこそ、仕組みを作るタイミングだと思ってます。目標を貼り出す、未達なら朝早く出社や夜のフィードバックをカリキュラム化しています。

上司が“思想の押しつけ”にならないよう、制度として決める。朝早く来たくないなら結果を出せばいい。合理的でシンプル。タフに働く会社であるために、ルールで緊張感を設計するんです。

その反面、結果を出してる人は、翌週から次のステップに行けるようにしています。スピード感を持って人事を動かす。ペナルティもチャンスも、ちゃんと制度にすることが大事なんです。

努力が報われる設計にこだわる

評価を主観で決めないように、数値やルールで明確にしてます。

例えば社内の再点で90点以上が昇格ライン。85点以下なら朝早く出社してトレーニングを受ける。点数が悪い人が「自分は今ペナルティを受けてる」って実感できるようにする。

努力が報われる構造を作ることが、モチベーションにつながるんです。ゆるくしない設計が大事ですね。

話し手

高橋 翼

株式会社アーラリンク代表取締役社長

2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。