#33 入社前から“キャリア”をスタートできる会社
「会社の成長にも繋がるし、本人たちの成長にもなるんじゃないかって」
──アーラリンク独自の“内定後プログラム”希望者はアルバイトとして入社し、実務を経験しながら社員と同じ評価制度の中でキャリアを積み重ねるというもの。
見える化されたガチの育成設計と、正式入社前の昇給まで備えた本気のキャリア開発。会社の理屈と学生の理想を両立させるための仕組みがここにあります。
- 目次
- 内定から入社までの期間をどう過ごすか
- ゼロから作った人事制度
- 応対品質90点を超えたらSVへ
- エントリーからマネジメントへ、キャリアの階段を設計する
- 評価の透明性とキャリアパスの明確さ
- 給料面だけじゃない成長面でのシナジー
- 社員とまったく同じ内容で評価される
- 切り出しバイトにしないために
- 誰でもスマホ事業と新卒の相性の良さ
- 相思相愛の仕組みを
内定から入社までの期間をどう過ごすか
早い人で8月に内定承諾したとしたら、そこから2027年の4月1日まで、だいたい1年8ヶ月くらいあるんですよね。この期間の過ごし方についてちゃんと定義してみたんです。
まずは学生生活を最大限楽しんでほしいっていうのが前提なんですけど、一方でアルバイトをしてる人も多いと思うんですよね。そのアルバイトが成長にあんまり紐づいてないって場合もある。だったらうちでアルバイトしてもらえばいいんじゃない?って思ってそれを制度として設計しました。
目玉は”アルバイト期間が人事評価の対象となり、その評価はそのまま入社後にも引き継がれ、初任給がどんどん高くなる制度になっている”というところ。つまり、現在提示している新卒の初任給よりもさらに上がった状態で入社できるってことです。
ゼロから作った人事制度
今回、この人事制度をゼロから全部作りました。いくつか狙いがありますが、特に「アルバイトの時間を無駄にせずに入社まで繋げたい」ってこと。それとカスタマーサポート、エンジニア、ビズデブ(ビジネス開発)など、「いろんな側面を見ながらキャリアアップしてもらいたい」という思いがあります。
アルバイトしながら、まずはカスタマーサポートを経験してもらいます。そこでお客さんのことを理解したり、カスタマーサポートでしか磨けないスキルを磨いたりする。
「これができたら卒業」っていう卒業要件を明確にしていて、さらに評価・目標設定もちゃんと内定者と握り合います。
応対品質90点を超えたらSVへ
最初の卒業要件は「応対品質90点」これはつまり丁寧な電話応対ができるってことです。それをクリアしたら次はSV(業務管理者)に進みます。やることは後輩の育成です。後輩が自分と同じように90点を取れるよう教えてあげる。
そのあとエンジニアに進むんですけど、うちはノーコードで開発できる環境があるので、プログラミングが書けなくても大丈夫。エンジニア経験がちゃんと積めるようにカリキュラムも用意してます。
エントリーからマネジメントへ、キャリアの階段を設計する
エンジニアには初級・中級・上級ってあるんですけど、まずは初級クリアを目指します。うちの会社では「エントリーコース」と「マネジメントコース」というキャリアコースがあるんですけど、このエンジニア初級クリアまでがエントリーコースに該当します。エントリーコースをクリアしたら、マネジメントコースに進めるという設計なんです。
マネジメントコースまで進むと、提示している新卒初任給より月給で10万円ぐらい上がる想定になってます。早い人だと1年半くらいでエントリーコースを卒業できると思っているので、入社した瞬間にマネジメントコースからスタートできるんです。
評価の透明性とキャリアパスの明確さ
ここで大事なのは等級制度を明確にすることと、評価・目標設定をちゃんとやることです。キャリアパスがすごく明確になっているので、何をクリアしたら次のステージに行けるのかがちゃんと決まっている。そしてそれを教えてくれる先輩社員の存在がいる。だから1年半という期間があっという間に過ぎるし、その間に昇給した状態でキャリアをスタートできる。
じつはこれって会社にとってもめちゃくちゃありがたいことなんですよね。なぜかというと、会社はいまリーダー層が足りていなくて、もっと上の仕事をしてほしい人がリーダーを兼務していたり。そこをすぐにでも解消したいんですけど、キャリアを徐々に積んで能力を適切に身に着けて欲しい。でも待っていたら会社の成長は止まってしまう。
だったら“内定承諾者の段階”からキャリアが始まるように設計した方が、会社の成長性と丁寧なキャリアアップを両立できる制度になるんじゃないかって思いました。
給料面だけじゃない成長面でのシナジー
学生側にとっても給料的な面だけじゃなく、成長の面でもシナジーがすごくあると思っています。もちろん、学生の間にしかできない研究とか旅行とか留学とか、そういう体験もあるから、それはそれでやってもらった方が人生的には良い。
でも僕自身もそうだったんですけど、そういうことにあんまり惹かれない人もいると思うんですよね。「早くビジネスをやりたい」「キャリアアップしたい」って人には、アルバイトの段階からキャリアアップを意識した行動をしてもらった方が良いんじゃないかなと思います。
社員とまったく同じ内容で評価される
今回つくった制度って、社員が入社してから受ける研修と、アルバイトの内定者が受ける研修は、まったく同じものになってるんです。そして、そこで発揮されたパフォーマンスはちゃんと評価されて、昇給や昇格に直結するようにしてる。
さらに4月1日になって入社したとしても、その時点でやってきた仕事をそのまま引き継げるようになっています。だから成長した状態でスムーズにキャリアを開始できるんです。
すでに26卒の内定者も残り半年って短い期間ではあるけど、このプログラムに乗って実践を始めています。少しでも早く昇給してもらえるように、まずは「応対品質90点超えようぜ」っていう話をしながら一緒にやってるんですよね。
切り出しバイトにしないために
よくあるインターンみたいな「切り出しバイト」にしないためにも、ある程度の時間コミットはしてほしいなと思ってます。だいたい週4日は来てほしい。
それがないと練度が積み上がらないんですよ。週1とかタイミーみたいな感覚だと、さっき話した図式が崩れちゃうんです。
誰でもスマホ事業と新卒の相性の良さ
「誰でもスマホ」っていうサービスの成り立ちや構造を理解してないと、なかなかパフォーマンスが出ないんですよ。これはビジネスリテラシーの高い人が中途で転職してきたときも同じで、やっぱり時間がかかるんです。
でも逆に言えば、ちゃんと知ってもらえれば早期から活躍できる。だから新卒との相性がすごく良いんじゃないかなって思っていて、そこに期待してる部分も大きいです。
相思相愛の仕組みを
会社としては新卒が活躍しやすい、むしろ新卒が活躍してくれないと会社が伸びないっていう事情があるし、逆に学生本人も早くから成長したいっていう人は一定数いる。だからその利害ってすごく一致しやすいと思うんですよね。
会社の理屈と学生の理想がちゃんと交差する。そういう“相思相愛”みたいな関係が築けたらいいなと思ってます。

話し手
高橋 翼
株式会社アーラリンク代表取締役社長
2011年早稲田大学社会科学部卒業。通信事業の将来性と貧困救済の必要性を感じ2013年にアーラリンクを創業。